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裁 13KB 死なない・優遇ゆっくりあり 描写薄め セルフパロディ ※『ふたば系ゆっくりいじめ 310 仏』のセルフパロディです ※というかむしろ使い回し? ※他作者様の作品を一部参考にさせて頂きました ※死なない、優遇されるゆっくりが存在します ※どうしてこうなった! 裁 ユギャァァァァァァァァーーー! 今日もどこかで悲鳴が聞こえる……。 「ゆぎゃあーーー!」 「なにしてるの!れいむおこったよ、ぷんぷん!!!」 ある森の奥でれいむとまりさのスタンダードな番が襲われている。 この夫婦は非常にゲスなでいぶとゲスまりさであった。 でいぶはお人よしを見分ける勘が鋭く、それによって他のゆっくりから食料を分けてもらい、少なければ逆切れしてそのゆっくりを殺して奪っていた。 そしてゲスまりさは独り身や群れから離れた場所に住むゆっくりを甘い誘惑で誘い出して殺し、その家ごとすべてを奪っていた。 この糞饅頭2個が番になることで、家と食糧に関しては申し分のない生活を送ることができていた。 「ついに見つけたぞ強盗ゲス夫婦め!今日でお前たちも年貢の納め時だ!」 当然善良なゆっくりにとって、その姿はゆっくりできないどころか脅威として認識された。 この番は先ほど愛でお兄さん率いるゆっくりの集団に襲われたのだった。その数は20匹。いくら栄養状態のいい糞饅頭でも勝ち目はない。 先程のゲスまりさの悲鳴は、逃げようとしたところを隠れていたゆっくりに噛みつかれたことによるものだった。 (ゆう、こまったよ…。このままじゃいっしょうゆっくりできなくされちゃうかもしれないよ。れいむをまもれないなんてまりさはおっとしっかくだよ!) 「ゆ゛っ!にげんさん、まりさはむじつだよ…。ひとものもなんてうまれていちどもとったことないよ?」 「嘘をつくな!お前達がこの家の主を殺したところを目撃した子がいるんだ!」 「ちがうよ!れいむたちにおうちをくれないげすをせーさいしただけだよ!そしたらおうちにだれもいなかったからここはもうれいむたちのおうちなんだよ!」 「ああ!?何言ってるんだ、それを強盗って言うんだ。しかも開き直っているなんているなんてとんでもないゲスだな!」 「れいむうううう!なにかってにしゃべってるんだぜええ!?」 この愛でお兄さんは最近ゆっくりんぴーすと分離した「ゆっくり愛護協会」に属していた。 この2つの組織が分離した理由は『ゆっくりにとって住みよい世界を!』という理念の解釈の違いだ。 ゆっくりんぴーすはこれを『ゆっくりにとって住みやすいように、環境や法を変える』という思想で行動している。 対してゆっくり愛護協会は『ゆっくりが世界で生きやすいように、教育やペット化、ゲス排除を図る』というものだ。 農家でのゆっくりによる食害を例にとってみよう。 ゆっくりんぴーすでは野生動物の被害として自治体による補償や自己負担を農家に求める。ゆっくりを殺そうものなら、『言葉で解決すべきだった』『野生の生き物なんだから仕方がないのに』と被害者を激しく非難する。 愛護協会では損害面では同じだが、毒餌や効果的な柵、罠などのゆっくり対策を無料セミナーで広める。 ゆっくりに対しても、野菜の味を占めて仲間を引き連れて再び現れかねない、人間の集落から帰ってきた武功により群れの重役になればさらに被害が広がりかねない、としてその場で殺すことを強く推奨している。 そのような馬鹿をできるだけ排除しておかなければ静かに暮らすゆっくりにも悪影響が及ぶからだ。 ゆっくりんぴーすはゆっくり愛護協会をペット事業や対策品販売が目的のえせ愛護者と批判し、 ゆっくり愛護協会はゆっくりんぴーすを現実離れの自己満足集団と蔑んでいた。 今回の糞饅頭討伐もゆっくり愛護協会の活動の一環なのだ。 このようなゆっくりを排除し、ゲス因子を少しでも減らすこと。人間の強さを理解させ、畑の襲撃やおうち宣言を未然に防いで人間との摩擦を減らす。 愛護協会の野生対策の一つである。 「ゆああああ!おねがいだよ!おうちとたべものはぜんぶあげるからみのがして!」 「だめだ!お前達はもう許されきれないほどの罪を重ねた。それにその家と食べ物はお前たちのものじゃない!」 「まりさ!にんげんなんかにあやまるひつようはないよ!れいむとまりさならにんげんなんてしゅんさつだよ!」 「どうやられいむの方は状況すら分かってないみたいだな。やはりお前らのようなやつらは生かしておけない」 「じゃあせめて…せめてまりさだけはみのがして!じつはまりさはれいむがこわくてしょうがなくやってただけなんだよ!」 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お!?」 そこからでいぶとゲスまりさの耳障りな口論が始まった。 そして愛でお兄さんはいいかげんにゲスとの会話にうんざりしてきた。 「いい加減にするんだ!この森の善良なゆっくり達のために、お前たちを永遠にゆっくりさせる!」 お兄さんが近づこうとした時、 「ゆっへっへ…それがこたえなんだな?くそにんげん」 ゆっ?と糞饅頭を囲っていたゆっくりすべてと愛でお兄さんが固まった。 「何…だと?」 「ゆっへっへ。まりささまがほんきでいのちごいしてるとおもったの?」 「何か…打開策があるとでも言うのか?」 お兄さんは警戒心を強めていた。明らかに先ほどと雰囲気が違う。まるでうふふと言っていた少女がだぜ口調になったかのようだ。 実はこの黒糞饅頭はドゲスの配下の一員であり、ドゲスに食べ物やキラキラしたものなどを上納していた。配下の中で一番上納品の質・量がよかったので、ドゲスからは幹部として扱われ今回のように復讐されても見捨てられずにドゲスが幾度も助けに来ていたのだ。 いつも通りなら、先程の悲鳴を聞いて出発しそろそろ到着するころである。今までのやり取りも、ドゲスが間に合うための時間稼ぎだったのである。 「まりささまはこんなところでしぬゆっくりじゃないんだぜ?」 ァァァァァァァァァァーーー! どこからか声が聞こえる……。 「まりささまがかなわなくても、こんなときのためのほけんがあるんだぜ」 ァァァァァァアアアアアアーーー! 声が聞こえる……。その声は、瞬く間にここに近付いてきた。 「くずどもはおとなしくしていればよかったのに、こんなことするのがわるいんだぜ」 アアアアアアアアアアアアーーーッッッ! 「さっさとこいつらをころすんだぜ、どすっ!!!」 声の主が姿を現す。そこには、ズタボロのドスまりさがいた。 「ゆぎゃああああああ!だれか助けてえええええええ」 群れではなく、分散した配下を従えるドゲスまりさがこの周辺にいる。この情報は糞饅頭夫婦の殺害が実行される直前に入ってきたのだ。 彼らも一応は愛で団体。糞饅頭を討伐するというゆっくり達との約束を反故にしたくないし、何より後回しにして被害を拡大させるわけにもいかない。 かといって任務中にドゲスに襲われる可能性も存在する以上放っておくわけにもいかない。 そこでゲス夫婦はこのお兄さんが、ドゲスは協会内の特殊部隊によって同時討伐することが決まった。 ゆっくり愛護協会がゆっくりんぴーすと異なる最大の部分。それがこの『ゲスゆっくり制裁特別部隊』。 なんとこの部隊は愛護団体の所属でありながら制裁鬼意山のみで組織されているのだ。 愛でお兄さんがゆっくりの案内のもとあのゲス夫婦へ向かっていた時、部隊はドゲスの巣へ赴き襲撃を開始していた。 「どすー。こんかいのじょうのうひんだよー。わかるねー?」 「むきゃきゃ。ぱちぇのずのうならこれぐらいのりょうをだましとるのなんてあさむーしゃまえだったわ」 「とくのうみるく!」 「ご苦労だったぜ。そこに置いておくんだぜ」 (チッ、これっぽちの上納なんてふざけているんだぜ!こいつらはもう何があっても助けないんだぜ) ぷすっ 「ゆ?何か今刺さって…ゆ゛ぶ」 「どす?どうかした……」 「ゆぎゃああああかゆいいいいいいいい」 先程違和感を感じた場所から突然強烈な頬のかゆみが襲ってきた。 そしてあまりのかゆみにドゲスはそばにいるゆっくりのことなど忘れて転げ回った。 「こっちこないd『グシャッ』 「むぎゅうううぱちぇだけでもいきのb『プチッ』 「ちんぽおお『ドピュッ』 「かゆかゆーーー!」 ドゲスの転がりに巻き込まれて3匹は仲良く死んでいった。 一方ドゲスはそれでも転がり続けた。 帽子はすでに脱げており何度もドゲスに轢かれ、ドゲス自身も何度も木にぶつかってからだのあちこちに傷を負っていた。 「唐辛子弾を撃ち込んだのにかゆいだけか…さすがドゲスだ」 「帽子の中にスパークキノコ確認!口内自生型でなく収穫帽子収納型!」 「よし、なら即行動開始!」 「「「「「ヒャア!我慢できねえ!ゲスは制裁だあ!」」」」」 「ぜえ…ぜえ…やっとかゆみが治まったんだぜ…」 「「「「ヒャアアアアア!!!」」」」 「ゆううう!?なんでいきなり虐待鬼意山が現れるのおお!?」 ドゲスは帽子からスパークキノコを取ろうとしたが、ここでようやく帽子が無いことに気付いた。 急いで辺りを見回すと、ちょうど1人の鬼意山が火炎放射機で帽子を燃やしているところだった。 「ヒャア!雑巾は焼却だあ!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!ドスのお帽子さんに何やってるんだz「一番乗りいいい!」 鬼意山がドスの横顔から先程より強力な唐辛子弾を撃ち込んだ。唐辛子の変換・無力化は全身の餡子で行わなければ間に合わないほどの量なので、ドゲスは移動などの大掛かりな運動がしばらくできなくなった。 「ゆっぎゃあああああああああああああああああ」 「ならば俺はわさびを塗った剣で刺す!」 「ひぎゃああああああああああああああああああ」 「そして俺は必殺ゆ虐空手だ!」 「ごふぁああああああああああああああああああ」 「じゃあ俺はくんかくんかするぜ!」 「ゆふうううううううううん…ふぅ」 鬼意山本能に従ってドゲスを思い思いの方法で虐待していく面々。ハンマーで叩き、槍で刺し、死臭付きお飾りを結びつけたり。ドゲスを肉体的・精神的に削っていく。 しかし、鬼意山達はドゲスの前面では決して攻撃しなかった。ドススパークは無力化したとはいえ、あの巨大な口自体が十分脅威であるし、大きな石を隠し持っていたら危険だ。その判断がドゲスに突破口を与えてしまった。 「ゆああああああもうやだああああだれかたすけてえええええ」 突然ドゲスはまっすぐ走って逃げだしてしまった。 自分で動かず上納という独自のシステムでゆっくりできる食料を確保していたので、このドゲスは餡子が通常より多かった。そのため想定よりも早く唐辛子の毒素の餡子変換が終了してしまったのだ。 前でだれか作業していればひるんでその場で動けなかったかもしれない。そうすれば再び撃ち込んで動きを止められたのであろうが、後の祭りである。 「ちっ!まだあんな余力が!?」 「くそう!虐待なんかせずに始めから殺すべきだったか」 「追うぞおお!」 以上がドゲスがここまでくる経緯である。だが所詮は手負の身。ちょうどゲス夫婦の元にたどり着いたところで虐待鬼意山達も追いついてきた。 「「「「「ヒャアアア!追いついたぜえええ!ドゲスは制裁だあああ」」」」」 「も゛う゛来な゛い゛でええええええ」 「ヒャアアア!愛しのありすの仇ィィィィ」 一人の鬼意山が銃弾をドゲスに撃ち込んだ。今までのように変換・無効化できるような生ぬるいものではない。対ドス級駆除用に開発された本気のものだ。 その弾丸には『毒唐辛子』のという意味の現地名を持つビフ・ジョロキアの粉末を内蔵しており、ドス級ゆっくりへ撃ち込むことで体内で弾けて猛威を振るうのだ。 「ゆごあ゛だばヴェな゛がべぎょ!?!?」 ドゲスは体内で炸裂した猛毒で動きを封じられた。しかもそれは物理的に封じたのではなく、あまりの苦痛で動けないというだ。この苦痛から解放されるには大量の薬品を用いて体外へゆっくり排出するしかない。 この制裁鬼意山は飼いゆっくりをゲス野良に殺された元愛でお兄さんであった。 「ヒャッホーーーイ!天国のドス!見てるかあああ?」 一人の鬼意山がドゲスの髪の毛に炎を浴びせた。 (ゆああああああ!ドスのサラサラヘアーがあああああ) この制裁鬼意山は元無差別派であったが、山で遭難し餓死しかけたところをドスまりさに助けられ改心した。その後ドスを訪れたら流浪のドゲス一派に群れのゆっくりごと殺されており、以後そのドスを弔うためにゲスのみを狩り始めたのだった。 他の鬼意山やこの場にいない隊員も同様である。皆何らかの理由でゲスを憎んで制裁鬼意山になったのだった。だからこそ愛護協会に所属して、善良なゆっくりを守るためにゲスを殺すのだ。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「「どすーーー!?」」 ドゲスはもう虫の息だ。 だが死にはしない。制裁鬼意山が意識が回復しない程度にギリギリの量のオレンジジュースを流し込んで生かしているのだ。 「まりささまはにげるんだぜ!そこでれいむをゆっくりころすんだぜ!」 「まりさこそゆっくりしんでね!」 「逃がすわけないだろうが!!!」 混乱に乗じて逃げ出そうとしていたゲス夫婦は愛でお兄さんに蹴られて善良なゆっくりの前に落ちた。 「ゆべし!」 「ごふっ!」 「みんな!なかまのかたきだぜ!」 「はにーのかたきいいい」 「れいむのぱしたさんかえせええ」 ゆっくり達が夫婦に群がりリンチを開始した。ある者はでいぶのもみあげをひきちぎり、またある者はゲスまりさの帽子を目の前で引き裂いた。 強烈な蹴りを喰らった直後な上に10倍の数のゆっくりに囲まれた糞饅頭は抵抗らしい抵抗などできずに袋叩きにされていった。 枝で目とまむまむを刺された。 髪を噛まれて振り回された。 体当たりを受けて続け歯がすべて折れた。 何十回も石をぶつけられ皮が破れた。 全身にうんうんとしーしーをかけられた。 リンチが終わった後には、比喩ではなく本当に糞饅頭が転がっていた。 「ほ…ほうやは…おうひかへふ…」 「おにいさん!ぱちぇたちはゆっくりごろしはできないからとどめを!」 「おう!」グシャ! 「ひいいいいい」 「でいぶは今潰した。ゲスまりさ、何か言い残すことは?」 「ほ…ほっほゆっふひひ『グシャッ』 「馬鹿が。ゲスにそんなこと言わせると思ったか?」 「ゆゆーん。じゃあこのドゲスは森の外まで運んでおくね!」 任務完了の連絡後、愛護協会に所属しているドスまりさがやってきて巨大スィーでドゲスまりさを運んで行った。 ドス級の検体は貴重なので、治療した後で生きたままバラバラに解体して調べるのだ。 ゆっくりの未来のため、ゲスを惜しみなく動物実験の犠牲にするのもゆっくりんぴーすと異なるところだ。 「おにいさんたち、ほんとうにありがとう。これであんしんしてくらせるよ」 「ああ、こちらこそ皆を守れて嬉しいよ」 「ゲスが現れたらすぐ俺たちのもとに来いよ。すぐそいつを制裁してやるからな」 「ゆー。おにいさんはちょっと……」 「「「「「「「「「「ははははははっ」」」」」」」」」」 「ちょっ。みんな笑うことないじゃないかあ」 楽しそうな笑い声があたりに響いた。彼らがいる限り、この森のゆっくり達は平和に暮らしていくだろう。 そして森の出口では、目を覚ましたドゲスが自分の未来をドスに聞かされ、大粒の涙を流しながらトラックに積まれていった。 ユギャァァァァァァァァァァーーー! そして明日もどこかで悲鳴が聞こえるであろう……。 【補足】 作中の愛でお兄さんは素直な可愛いゆっくりが好きであり、矯正不可なゲスなんて心底どうでもいいって人です。 愛でに紛れ込んだ虐待鬼意山じゃないよ。 【あとがき】 属性を入れ替えるだけであら不思議。もう一本駄作ができちゃいました。 最初は『仏2』って題名でしたが、「ハハッ、ほとけさまかんけいないじゃないか!バカかい?」って脳内でなずーりんが罵ってくるんで『裁』に変えました。 ちなみに本当は新作を先に出す予定だったんですが、あまりにも虐待描写に詰まっちゃったんで息抜きにこちらを先に完成させました。 第1作と比べて腕は上がってますか? 参考文献 ふたば系ゆっくりいじめ 444 ドスハンター 今まで書いた作品 ふたば系ゆっくりいじめ 310 仏 ふたば系ゆっくりいじめ 393 体 ふたば系ゆっくりいじめ 401 体2 ふたば系ゆっくりいじめ 452 体3 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る (ノ゜Д゜)ノニガストオモッタカ?ヒャハァァァァァァァァァァァァ!!!!!!! -- 2016-08-28 22 11 28 ぱしただけは謎だ……。やっぱり、ゆっくりんぴーすって○ーシェパード並のアレな組織なんだな。ゲス放置なんて間接的に苦しめてるのに -- 2012-10-24 23 40 45 やっぱりゆっくりんピースはクズだね! -- 2012-09-15 20 41 37 じゃあ俺はくんかくんかするぜ!wwwwwwwwwww -- 2012-08-16 22 59 49 ↓↓↓それは愛でお兄さんが引き連れてた20匹の善良ゆっくりのうちの一匹のセリフだから野性ではないでしょ。 ぱした=パスタ -- 2012-03-17 23 07 02 ぱしたって何ぞ? -- 2012-03-17 17 29 37 馬鹿が。ゲスにそんなこと言わせると思ったか? シビれた… -- 2011-10-13 03 16 22 >「れいむのぱしたさんかえせぇぇ」 野生の分際でぱした…だと…? -- 2011-01-10 19 39 05 俺はゲス制裁と善良ゆっくり理不尽虐待のどちらも同じくらいゆっくりできる ただ制裁鬼威山はあまり鬼威山らしくないかな なんか精神的に弱い感じがする -- 2010-11-15 05 49 19 制裁鬼意山さん達がゆっくりできるのには同意。 大儀が無ければ民衆は動かんよ。 ゆっくりんピースなんてさっさと潰れれば良いのに -- 2010-10-12 22 43 17 制裁鬼意山はゆっくりできる。人間のやることには大義名分は必要だと思う。 -- 2010-06-24 11 21 08 いい作品だとおもう。 -- 2010-05-26 09 21 45 やっぱこういう話のほうが好きだなあ -- 2010-03-14 13 21 30 まさにすっきりできる話だ -- 2010-03-07 03 31 43
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ゆるやかな傾斜の山道を歩いていると、遠くの茂みからゆっくりれいむが現れた。 茂みから反対の茂みへ、道を横切ろうとしているれいむの側面には木の棒が付いている。 ゆんしょゆんしょと、ゆっくり跳ねるたびに木の棒の続きが茂みから現れ、 れいむの反対側の側面にも棒がついていて、2本の棒の間に布が張ってあるのがわかる。 さらに跳ねると、棒のもう一方の先を付けたゆっくりれいむが現れ、 2匹のゆっくりれいむが、ゆっくりサイズの担架を運んでいるのだとわかった。 担架に張ってある布は生体ゆっくりを1匹乗せられる程度の面積があり、 平行に渡してある棒の間はれいむの横幅より少し短い幅しかなく、 その棒の間に体をはさんで、内側から突っ張ることで担架を支えているようだ。 「ゆんしょ、ゆんしょ」 「ゆんしょ、ゆんしょ」 2匹が棒でつながっている状態の為、跳ねる距離やタイミングを合わせないと うまく前進する事が出来ない。その為2匹で掛け声を合わせてゆっくりと跳ねていた。 ゆっくりが1匹で跳ねるよりも1歩1歩の間隔が長い為、すぐに追いついてしまう。 2匹のれいむは近づいてくる人間に気付いたものの、担架の棒に挟まれている為 人間の方に向き直る事が出来ず、横を向いたまま話しかけてきた。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「れいむたちにかまわないで、そのままさきにすすんでね!」 「お前達、そんなもの担いで何やってるんだ?」 「ゆ?れいむたちはきゅうきゅうしゃだよ」 ゆっくり達の間で救急車ごっこでも流行っているのか? れいむは構わず先に進めと言うが、一生懸命担架を運ぶゆっくりの姿が可愛らしいので、 様子を眺めていたい衝動に駆られる。 「ああ救急車か、邪魔はしないから、私の事は気にせずにそのまま続けてくれ」 「ゆう…ほんとうにじゃましないでね?」 れいむ達は再び、ゆんしょゆんしょと前進を始め、道の反対側の茂みに入り込んで行く。 あまりにもゆっくりした行進だが、その後ろを距離を開けて付いて行く事にした。 棒の間に無理に挟まっている為、れいむの体を後ろから見るとずん胴なひょうたんのように窪んでいる。 担架に張ってある布は、元は白かったのだろうが洗っていないらしく、土や餡子がこびり付いて 汚れに汚れていた。遊びで餡子は付かないだろうし、実際に救急車として使っているのだろうか。 「ゆんしょ、ゆんしょ、みえてきたよ!」 先頭のれいむがそう言うと、前方に1匹のみょんが佇んでいた。 見れば頬の皮に小さな傷があり、ぽろぽろと涙を流しながらえぐえぐと嗚咽を洩らしている。 「マラっ、マラっ…」 「ゆっくりしていってね!いまきゅうじょするよ!」 「ち、ちーんぽ!」 2匹のれいむは体を器用に変形させて、担架をその場にストンと落として みょんの左右に跳ねていくと、傷のある側に近づいたれいむがその傷をぺろぺろと舐めだした。 舐めて直すだけだったら、担架はいらないんじゃないか? 「ぺーろ、ぺーろ」 「ぺっ、ぺにぃぃ!」 「ゆっくりがまんしてね!」 傷を舐められてしみるのだろう、みょんは嫌がるようにれいむから離れようとするが、 反対側に付いたれいむに阻まれて逃げる事が出来ない。 それでもじたばたと暴れようとするみょんに舐める側のれいむが怒り出す。 「もうっ!うごいたらなめられないよ!かんじゃをおさえてね!」 「わかったよ、みょんはうごかないでね!」 「どぴゅっ!?」 押さえる側のれいむがみょんの頭上に飛び乗ると、 みょんの体は楕円形に大きく歪み、口から少量の餡子が飛び出す。 頭上にのったれいむも、振り落とされないよう体を低くして、みょんの頭に れいむ型の帽子が乗っかっているかのような形になった。 「ぺにすっ!ぺにぃぃぃ!」 「ぺーろぺーろ、ゆ?なんだかちょっと甘くなってきたよ?」 「ど、どぴゅぅぅ!」 上から押さえつけて側面の皮が伸びた状態になっていた上、 舐め続けた事で傷口が広がり、餡子が露出してしまう。 それでもれいむは気にせずに、甘さを楽しみながらみょんの頬を舐め続け 餡子に直に触れられる痛みにみょんはますます暴れだした。 「うごかっ!ないでねっ!」 「どぴゅ!どぴゅっ!」 「ぺーろぺーろ、しあわせー!」 上に乗ったれいむはみょんの動きを止めようと、上下に跳ねてみょんを押さえつける。 その度にみょんは口から餡子を吐き出し続け、もう1匹のれいむは餡子を舐める事に夢中になっている。 これは治療じゃなくて拷問じゃないのか。 餡子を吐き続けたみょんが痙攣を始めても2匹は治療を止めず、ついにみょんは動かなくなってしまった。 「お、おい、そのみょんもう死んでるぞ」 「「ゆゆっ!?」」 傷を舐めていたれいむは言われて初めて気付いたのか驚愕に目と口を見開き、 上に乗っていたれいむもみょんの前に降り、みょんが苦悶の表情で死んでいる事を確認すると、 「ゆぅ…てをつくしたけど、たすけられなかったね」 「てんごくでゆっくりしてね…」 みょんの死を悲しがりだした。自分達の治療が原因だったとは思っていないようだ。 すると突然、片方のれいむのリボンがぴくっと動いた。 「ゆっ!あたらしいかんじゃだよ!すぐにしゅつどうするよ!」 「ゆゆっ!」 2匹はぴょんぴょんと、近くに置きっぱなしにしていた担架に向かう。 2本の棒の片方を咥えて持ち上げると、体を斜めにしながら棒の間に挟まり、 器用にもう片方の棒も持ち上げる。 せーの、とでも言わんばかりにリズム良く体を沈み込ませた所で聞いてみた。 「なあ」 「ゆっ?どうしたの?」 「その、お前達は怪我をしたゆっくりが、どこに居るかわかるのか?」 「わかるよ!だってきゅうきゅうしゃだもん!」 自信満々に言うと、またれいむ達はリズムを合わせて前進して行く。 いい加減な生き物だから、救急車の役をすれば患者の位置も感じ取る事ができるらしい。 先ほどぴくっと動いていたリボンをセンサーにしているつもりなのだろう。 またゆっくりとした行進の後ろをついて行くと、今度はまりさが叫びながら転がりまわっていた。 「いだいぃぃぃ!うわ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!」 「ゆっ!じゅうしょうだね」 「すぐにたすけるよ!」 転がるまりさの底には小さな穴が開いていて、どろりと餡子が漏れ出していた。 近くにある上部の尖った石にも餡子がついている。この上に乗って傷を作ってしまったようだ。 足にあたる底面の痛みに跳ねることが出来ないようだが、ゆっくりなら安静にすれば自然治癒するだろう。 2匹のれいむは泣き叫ぶまりさの横に担架をストンと下ろし、まりさを担架の方に押すと、 まりさはコロンと転がって担架の上に傷のついた足が乗った。 「ゆ゛、ゆ゛ぎぃっ!」 「ゆっくりはこぶよ、がまんしてね!」 後頭部を下にすればいいのに、傷の付いた足が不潔な布に乗った為、 土や古い餡子が傷口にしみたまりさは苦痛に顔を歪める。 それでも動けない自分を仲間が運んでくれる事に安心したのか、唇を噛んでぐっと我慢した。 担架を持ち上げる際は一旦片側の棒を上げるが、まりさが落ちないよう慎重に、 れいむ達は体を器用に使って左右の棒を交互に上げていく。 時間をかけて担架を持ち上げると、再びタイミングを合わせて前進を始めた。 布の上にまりさを載せて運ぶ姿は、神輿の様にも見える。 少し歩くと、眼前に川が現れた。山道だが上流ではない為、流れはそこまで速くない。 縦列駐車の要領で川のすぐ側に平行に止まり、ゆぅと一旦息をつく。 「ゆ?どうしたの?」 担架にのったまりさが疑問の声を上げるが、れいむ達は返事をせずに、 川に面した側の棒をゆっくりと下げていく。 斜めになった担架の上でまりさは川に向かって落ちそうになり、慌てて重心を川の反対に寄せる。 「ゆゆっ!?おとさないでね!ぜったいおとさないでね!」 「ああ、そんなセリフを言うと…」 「ゆ゛う゛ぅぅっ!」 角度が付いた担架の上からころんと転がったまりさは、じゃぽんと音を立てて川に落ちた。 流れこそ速くないもののそこそこの深さはあるらしく、すぐに沈んで気泡だけが上がってくる。 綺麗な水の中で何か叫ぼうとしてるのか、まりさは口をぱくぱくと開閉するが、 底面の傷から餡子が水に溶け出し、まりさ自身も川に流され行ってしまった。 れいむ達はストンと担架を下ろし、一仕事終えたといった顔で満足しきっている。 「な、なあ…」 「ゆ?」 「なんで川に落としたんだ?怪我をしたまりさを助けるんじゃなかったのか?」 「ゆー?」 そんな事もしらないのか?とでも言いたげな顔でれいむ達はため息をつき、 自信満々に胸を張って答えた。 「あのまりさはゆっくりできなくなったから、らくにしてあげたんだよ!」 「そうなのか…ゆっくりは足を怪我したら殺しちゃうのか?」 「ゆっくりできなくなるよりはましだよ!」 本当にそうなのだろうか。試しにれいむ2匹の頭を掴んで底面が見えるようにコロンと転がし、 底面に人差し指をぷすぷすと差し込んでいく。 「ゆぎゃっ!?いだい゛!なにずるのぉぉ!?」 「やめでね!ゆっくり゛なおじでね!?」 「直すの?さっきのまりさは直さなかったよね」 直して欲しいと叫ぶれいむ達を掴み、川の上に持ち上げると、 2匹とも目から滝のような涙を流し始めた。 「ゆっくり出来なくなったら、どうするんだっけ?」 「ゆ゛ぅっ!じにだぐないでず、なおじでぐだざい!」 「おねがいじまずぅぅ!」 「「おとざないでね!ぜっだいおとざないでね!」」 「ああ…そのセリフは落として下さい、って意味だよ」 2匹のれいむを掴む手を離すと、どぷんと川に落ちたれいむ達は まりさがしたように口をぱくぱくと開閉しながら流されて行く。 後に残ったのは汚い担架のみである。 さて帰るか、と立ち上がり後ろを振り返ると、2匹のれいむが固まっていた。 先ほど落としたれいむとは別の個体のようだが、その2匹も汚い担架を担ぎ、 目と口を全開に広げてぷるぷると震えている。 ゆっくりの救急車は怪我をしたゆっくりの位置がわかるらしいので、 さっき底を傷つけたれいむ達を感知して急行してきたのだろう。 助けに来たゆっくりが目の前で川に落とされたので、恐怖に固まっているようだ。 この付近にどれだけのゆっくり救急車が居るのかはわからないが、 傷つけたゆっくりを助ける為に現れたゆっくり救急車も捕まえれ同様に傷つければ、 全ての救急車がこの川に集合するのではないだろうか。 目の前で固まっている2匹のれいむを捕まえる為に1歩踏み出すと、 れいむ達ははっと我に返って自分の危険を察知した。 「ゆっ!ゆっくりしないでにげるよ!」 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 担架を捨てて散り散りに逃げればいいのに、わざわざタイミングを合わせた跳躍で ゆっくり方向転換しようとしている。担架の側面をがっちり掴んであげると、 跳ねる事も出来ずにゆさゆさと体を揺さぶる。 「は、はなしてね!ゆっくりいかせてね!」 「まあ待ちなさい、他にもゆっくりの救急車は居るのかな?」 「ゆうっ、いるよ!だかられいむたちははなしてね」 「そうか、それじゃあれいむ達は、他の救急車をおびき出す為に怪我をしてね!」 「ゆううぅっ!?たすけてぇぇ!」 数日後、川の下流に数百匹を超えるゆっくりれいむの皮と、 尋常ではない量のあんこが流れ着き、里では異変の前兆かと問題になった。 いくらなんでもこんなに居るとは思わなかった。 おわり。 スレに書いたネタが元です。 540 名前:名無したんはエロカワイイ[sage] 投稿日:2008/09/30(火) 11 53 07 ID F1DZLaW9O 負傷したゆっくりの前に現れる、担架をくわえた二匹のゆっくり 「ゆっくりきゅうきゅうしゃだよ」と負傷ゆっくりを乗せて運び、崖下に投げ落とす 助けに来たんじゃないのか?と聞くと自慢気に胸を張り 「ゆっくりできなくなったから、らくにしてあげたんだよ!」 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌 (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ系1026 ゆっくり宅に挨拶 (fuku2789.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体 (fuku2670.txt) お帽子の人? 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放課後。帰りの支度をしていると、隣のクラスから椅子が倒れるような音がした。 それに続いたどよめきの声。 嫌な予感がして、私は教室を飛び出していた。 「つかささん、そんなもの破いてしまってください」 廊下を猛ダッシュしていると、みゆきの声が聞こえた。 教室に飛び込んだ私の目に映ったのは、異様な光景だった。 興奮して泣きべそをかいているこなたの両手を捕えて、机に押さえ付けるみゆき。 こなたの視線の先には、何かを手に持っておろおろとみゆきを伺うつかさ。 それを取り囲み、好奇の目を向けるギャラリー。 こなたが、泣きべそ…?泣いてる…? 「………なにやってんのよ…あんたたち…」 思ったよりも低い声が出て、自分でも驚く。 クラス中に怒りの視線を向けると、みゆきとつかさ以外のギャラリーはおずおずと教室を出て行った。 「なに、やってんのよ…!こなた、泣いてるじゃない!」 怒鳴りながらみゆきに近付く。 みゆきはこなたの喉元を指先で撫でながら、悪びれない表情で言った。 「かがみさんには関係ありません。泉さんに、少しお仕置きをしていただけですよ」 みゆきの眼鏡が飛んだ。一瞬遅れて、私の左手の掌に熱が走る。 カッとなって、気付いたらみゆきの頬を張っていた。 「相変わらず乱暴で、恐ろしいですね…かがみさんは」 緩慢な動きで眼鏡を拾いあげたみゆきは、つかさに首を振ってみせた。 つかさはやっぱりおろおろしながら私を一瞥すると、持っていたものを机に置いて、みゆきに続いて教室を出て行く。 みゆきから解放されてしゃがみ込んだこなたは、しゃくり上げて泣いていた。 「こなた…落ち着いて…」 「やっ、やだ、よっ…、な、でっ、そ…なっ…!」 私の声が聞こえてないのか、それとも私に気付いてさえいないのか。 こなたは苦しそうに鳴咽する。 「…落ち着きなさいっての」 抵抗しようとするこなたを無理矢理抱きしめる。 腕の中でもがくこなたの振り回された腕が鼻にヒット。痛い。鼻血出そ…。 でも構わずに、私は小さな体を抱く腕に力を加える。 伝わってくる鼓動は、踏切の警笛のようだ。 いつもより高い体温。喘ぐような呼吸。温かい涙が、私の体を暖める。 しばらく抱きしめていると、落ち着いてきたのか、 私が危害を加える気がないことがわかったのか、こなたは両腕で私の体にしっかりとしがみついて来た。 子供のような動作に愛おしさを覚えて、頭を撫でる。 頬っぺたをこなたの頭に乗っけて、頬ずりする。 こなたが泣き止むまで、そうしていた。 「あったかいね。かがみは…」 こなたが胸元でくぐもった声を上げた。 「ん…落ち着いた?」 「うん、かがみの匂い…かがみの心臓の音…かがみの掌。すごく、安心した」 「ばっ、恥ずかしいことを言うな!」 「だって、本当のことだもん…」 そう言ってこなたは私の襟元に頭を擦り付けてくる。 「こ、こら!くすぐったいから止めれ!」 「…どうしよう」 突然こなたが真剣な眼差しで見つめてきた。 さっきまで泣いていたから目元が赤くなってしまっていて、なんだかかっこ良くないけれど。 「私、さ」 「なによ?」 「私…やっぱりなんか…すごく。かがみのこと、好きみ…ぶふぁっ!」 重大な事を言いかけて突然吹きだしたこなた。私は呆気に取られる。 「か、かがみん…鼻血出てる」 「なっ!?」 慌てて鼻の下をこすると、パリパリという感触。 さっきのこなたの一撃を受けて、ちょっと出血していたのが乾いたらしい。 「…」 「…」 「いや、その…ごめん。かがみ…」 はぁ、とため息を吐く。 かっこついてないのは私も同じだったらしい。 「それで。こなたは、鼻血出てることに気づかないかっこ悪い私でも…好き?」 照れ隠しにちょっと意地悪に問いかける。 「…大好き」 また泣き出しそうになってるこなたを、さっき以上に優しく抱きしめて。 「私も、大好き。大好きだよ、こなた…」 この先は私とこなただけの秘密なので暗転。 「…なるほどね」 事の発端である、つかさが手に持っていたもの。 私とこなたの、ツーショット写真。 自分で言うのもなんだが、お似合いのカップルのように仲良さそうに写っている。 後で焼き増し頼もう。 「珍しく家で宿題やったら、ノートに挟まったみたいで…」 それがぴらっと落ちて、見つけたみゆきが乱心したらしい。 「慣れない事はするもんじゃないよね」 「いや、そこは慣れとけよ」 突っ込みつつも考える。 もしかしたら、みゆきもこなたのことが…。 いくら私のこなたを泣かせたからといって、いきなりビンタはまずかった気がしてきた。 ごめん、みゆき。 でも。 「大丈夫。何があっても私がこなたを守ってあげるから」 「…やっぱりかがみんは、武士みたいで男前」 軽口叩きながら真っ赤になってるあんたは、素直じゃなくてかわいい。 なんて。こなた曰くツンデレの私には言えなかった。 「ただい(ry」 「お姉ちゃああああああん!」 玄関を開けたら2秒でつかさ。 どっすんと音が鳴る勢いで抱きついてきた。 「あんたは私が憎いのか…」 「ご、ごめんね!お姉ちゃんごめん!」 はぁ。おっと、またため息吐いてしまった。 今の幸せはツワモノだから、これくらいじゃ逃げないだろうけど。 「私の部屋で話そう。ここじゃちょっと」 「う、うん」 玄関開けっ放しでは、流石にね。 「それで。みゆき、なんか言ってた?」 つかさからは言い出しにくいだろうから、私から話を振った。 「…ゆきちゃん、あの後泣いてたの」 「あちゃぁ…」 やっぱり、みゆきもこなたのことが…。 「それで、その後急に笑い出して」 「えっ!?」 「かがみさんにお伝えください。私、諦めませんから♪って…」 「えええっ!!?」 こなたがみゆきに襲われたり(性的な意味で) かがみに守られたり、慰められたり(性的な意味で) つかさがみゆきに襲い掛かったり(性的な意味で) するのはまた別のお話。 終われ コメントフォーム 名前 コメント GJ!...? -- 名無しさん (2022-12-23 12 29 01) 続きが読みたい…← -- 名無しさん (2010-05-28 02 21 37) さすがミウィーキーマウス -- 名無しさん (2009-12-30 09 36 22)
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【第9話 新しい治療法】 カンファレンスルーム─── 「残念ながら……」 医者は血液データを見せながら言った。 「こなたさんは寛解にはいたりませんでした」 かがみとそうじろうは真っ白に燃え尽きた状態になり、なにもしゃべらず、動かなかった。 「白血病細胞は減りましたが、顕微鏡で見るとまだ5割も残っています。本当は見えてはならないのです。1兆個の白血病細胞が抗がん剤をかわして全身で増殖していると考えられます」 何度もこういう話をすることは経験しているのだろう。医者は慣れた口調でつづけた。 「今までの当院での治療成績からみて、骨髄移植をしても失敗するでしょう。残念ながら余命は……」 余命宣告が出る。 かがみにはそれはまるで毎日聞く駅のアナウンスのように乾いて聞こえた。 「もって年末まででしょう」 年末───冬コミがある時期だった。 その時そうじろうはスイッチが入ったかのように動き出した。 「もう退院させます……ありがとう、ございました……」 そうじろうはプルプルと手を震わせながら 「もう有明は冬コミ以外にきません……お世話になりました……」 深く医者に頭を下げる。 かがみはその頭を下げた姿を見て、ようやく体が動き出した 「ちょっと、こなたのところ……行ってくる」 ふらっと立ち上がった。 涙は、出なかった。 「ちょっとでも、一緒にいないと……はやく……こなたが……かわいそう」 出口のドアの方へ、焦点の合わない目で 「こなた、寂しがってる……泣いてる場合じゃない、私がいないと……はやく、はやく……」 「お待ちください。当院では実験的な治療も行っています。新しい治療法を試してみたいとおもいます」 「新しい治療法?」 ドアノブに手をかけたかがみと、やつれきったそうじろうが同時に呟いた。 「『複数臍帯血移植』という、近年アメリカで実験的に行われた最新の治療法です。赤ちゃんのへその緒の血の中には、骨髄にあるのと同じものがたくさん入っています。骨髄の代わりに、二人ぶんのへその緒の血(臍帯血)を娘さんに移植してみようと思います。」 要するに医者の説明によると、なんとドナーが合う合わないの心配をしなくてもいい、年齢制限もない、いつでもできるという夢のような治療法だった。 「一人ぶんのへその緒の血を移植する『臍帯血移植』という治療法は今までも行われてきましたが、量が少ないので小さな子供の患者しか成功できませんでした。二人ぶんの臍帯血を使って量を増やすことで成人で難しいタイプの白血病でも成功しうるかもしれないという研究結果が出ています」 かがみは何度も思った医学の進歩を否定する考えを大急ぎで取り消した 「これで、これでこなたが助かるかもしれない……」 そうじろうはまたわっと泣き出した。 今度は、かがみも思い切り何もかもかなぐりすてて泣き声をあげた。 成功率は20パーセント……という声は聞こえなかった。 足の裏と、手のひらにできた豆がジクッと疼いた。 消えていくこなたの指先だけをそっと捕まえた気がした。 「これって……モルモットだよね」 弱弱しくなった手で、新しい治療の同意書にこなたはサインしようとして手を止めた。 「わたし、さいきん毎日毎日、明らかに普通のお医者さんじゃない人に取り囲まれてるの知ってるよね」 こなたの言うとおり、最近妙に身の周りが忙しかった。 珍しいタイプなせいだろうか、こなたを見ながら大学教授や学生らしき人が来てノーパソ打ったり、ノートとか必死にとってるし。 変な注射も打たれたり、ときどきビデオカメラまで回されて…… 「もっと増えるのかな……」 こなたは弱弱しくため息をついた。 「その代わり、あんたは最新の治療法を最優先で受けられるんじゃない。助かるのよ」 そのかがみの励ましの言葉に、こなたはすこしムッとした視線で答えた。 「……」 しかしかがみはそれを無視した。 「外出たいなー……」 「なにいってんのよ。治すのがさきでしょ」 「……そうだね……」 青空の下でビッグサイトの屋根が光るのが見える。 今日も何かのイベントをやっているのだろう。東西間を結ぶ連絡通路が人ごみであふれてるのが見える。(おそらく普通の堅気イベント) 「窓から聖地が呼んでるね……」こなたは小さくつぶやく。 「あれを見てると、今にもアナウンスとか男波の怒声とか痛車のエンジン音が聞こえてきそう……」 無菌ビニールテントと分厚い防音窓越しに見える逆三角はゆがんで見えているだろう。 「……心配しなくても、ビッグサイトは逃げないわよ。いまはゆっくり寝てなさい」 「私が逃げそうだよ……」 こなたはかなしげな目でうつむいた。が、新しい治療法という道がある今、かがみはいつもどおり強気で出る。 「どこへ逃げるって言うのよ。ほら、サインしたらさっさと寝る!」 「ねえかがみん、ほら、足見て」 こなたが布団の下から足を出してかがみに差し出した。 「細いでしょーふふ」 病的という言葉以外思いつかないほど枯れ枝のようで青白い足だった。 「私2週間で8キロやせたんだよ。うらやましいでしょー。かがみんだったら千年かかるだろうね。いやーどんなダイエットもかなわないねー、ねえかがみん」 「……」 こなたは糸目とω口の顔をかがみに向ける。 が、すぐにだるそうな表情に戻り、目を閉じる。 「ねえかがみん……」 「……なによ」 「外に出よっか」 「ち、ちょっと、何言ってるのよ!」 「歩けなくなる前に外に出たいんだ……」 「な、何言ってんのよ。治すのが先でしょ。ダメに決まってんじゃない。」 「やだーでたいでたいー、今のうち、さ、ちょっとだけ。ね☆」 かがみは目を伏せていた。 今のこなたは外気に触れたらおしまいだ。 免疫も弱まりこのビニールテントの中の世界でしか生きられない命なのだ。 「かがみーん♪」 こなたは甘えてかがみの顔にビニールテント越しに手を当てる。 ……ダメよ、そんなに甘えた声を出してもダメ。そんなに抱きついてきてもダメ!! お願いだから、まだまだ、もっと私のもとにいて……。 「ねえ、かが…みん…」 こなたの手がズルリとかがみの頬を滑り落ちる。 「こなた!」 ベッドの上にぐったりと仰向けになり、ハア、ハアとだるそうに肩で息をしている。 消えそうなまなざしでかがみを見上げる。 「ねえ、かがみん…外へ出よ…早くしないと…」 その眼差しは、思わず全てを肯定してしまうほどの力を持っていた。 「……ダメ」 しかし、かがみは小さくつぶやいた。 「……そんな身体で、外へ出れるわけないじゃない……息をするのも苦労してるのに」 こなたに目を合わせないようにして立ち上がる。 「とにかく、外出なんてありえないから。お医者さんに怒られるわよ。あんたにはその最新の治療法という武器があるんだから」 かがみはあえて冷たく突き放した。 「治ってから、好きなだけビッグサイトなり都産貿なりサンシャインなりインテなり行きなさい。……じゃ、私はそこらでご飯食べてくるから」 かがみはくるりとこなたに背中を向け、早足でドアに向かう。 「……いやだ」 その声にかがみの足が止まる。 「いやだ、出たい、出たい!!」 こなたはビニールテントをボンボン叩いた。 「すぐそこに見えるのに行けないなんて地獄だよ!今すぐ行きたい!!」 「な、なにわがまま言ってるのよ!!子供じゃあるまいし!!」 「だってかがみん言ったじゃん。『いい?今度から、痛いときには痛い、苦しいときには苦しい、怖いときなら怖い、悲しいときには悲しいってちゃんということ!!わかったわね!!』って。私は悲しいんだよ!!」 「そ、そうは言っても、あんた今外出たら死んじゃうのよ!!」 「……わかった……」 こなたは元通りに横になり、布団をかぶる。 「私今から寝るから。ご飯でも何でも食べて行っていいよ」 そのままこなたは寝息を立てはじめる。 かがみは少しそれを確認した後、静かにドアを開け、昼飯を食べに出ていった。 「あ・い・つ……」 ビニールテントのチャックが全開だった。 昼食から帰ってきたかがみは震えていた。 カラッポの部屋。 抗がん剤の点滴が抜かれて、こなたの鎖骨下から胸の大血管に刺さっていたはずの長い針の先から布団の上に液がこぼれ、オレンジのしみを作っている。 ……そして、その周りには血だまり。 赤い血痕をたどると、廊下の奥の非常階段のドアが開いていた。 第10話:余命○ヶ月の花嫁へ続く コメントフォーム 名前 コメント え…こなたやばいんじゃ… -- 名無しさん (2021-01-15 01 50 07) 次々と予想のつかない内容に、毎回ハラハラ・ドキドキしながら読んでます!! めっさ続きが気になります( _ ) -- チハヤ (2008-09-27 22 08 27)
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里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。 崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。 申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、 枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。 土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが 枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。 この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。 耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。 内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、 1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。 巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、 少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。 見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、 枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。 先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。 まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。 首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。 体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、 外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。 その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。 まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。 見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。 もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」 すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており 急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。 しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、 やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。 「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」 不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。 何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、 もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。 穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。 ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。 さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。 「ち────んぽっ!!」 「ゆうぅーっ!なんなの!?」 言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。 体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。 「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」 ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。 まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、 誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。 入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。 未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。 「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」 「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」 さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。 名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、 今はありすよりまりさである。 鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。 「まりさは全然ゆっくりしてないね!」 「ゆ…ゆがっ!?」 「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」 「だまれぇぇっ!」 突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、 そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。 反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように 枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。 「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」 息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。 それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。 「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」 わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。 人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、 「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」 と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く 数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず 巣の外側に振り返ってじっと動かない。 「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」 入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、 自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。 どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。 まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。 「やあ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」 「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」 ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。 そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。 「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」 「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」 「ああ、ゆっくりしておいで」 とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。 程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。 これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、 いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。 「ゆっくりしていってね!!」 「お…お…」 「ゆ?」 突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」 「おまえかぁぁぁ!」 「ゆべえっ!」 目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。 れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、 後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。 「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」 「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」 相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、 そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。 「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」 「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」 まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。 このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、 ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。 「ゆっぐり…じだがっっだ…」 「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」 もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。 荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して 丁寧に枝を立てかけて行く。 これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆぅっ!?」 いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、 またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。 れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。 「ゆ、ゆぅ…?」 自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。 さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。 「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」 誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。 もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。 れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。 「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」 「ゆ、ゆうっっ!?」 突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。 それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、 そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。 「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」 「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」 「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」 化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。 ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。 「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」 「ゆひいっ!!!」 まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。 誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。 声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。 「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」 「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」 れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、 まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、 恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。 「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」 焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。 支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。 「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」 自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。 逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。 れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。 死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、 ゆっくりとまりさに近づけて行く。 「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」 「………!!」 ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、 恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。 見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。 死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ 土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。 気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、 自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。 これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、 暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶? (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子? (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身? (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子? (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌? (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾? (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体? (fuku2670.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
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『 Any time 』 鉛のように重い身体を引きずって、マンションの長い廊下を歩く。 振る雪に濡れた私の分厚いコートが、その足取りをさらに重く、陰鬱な様子にさせていた。 後ろで一つに結んだ薄紫色の髪や、肩ににかかった雪を面倒臭そうに片手で払い除け、コツリ、コツリ、と一歩ずつ確かめるような靴音を、私は静かな廊下に反響させながら進んでいった。 やっと目の前に見えてきた、この街の日常と私とを分かつ、鋼鉄の扉。 焦る気持ちを押さえながら、キーケースから素早く鍵を取り出すと、私はその扉の鍵を、かちゃり……、ゆっくり静かに開けた。 もう辺りは深い夜が降りていて、周りの住人たちのそのほとんどは、穏やかな寝息を立てていることだろう。 そんな彼らに若干の嫉妬を感じながらも、起こさないようにそっと扉を開け、隙間に身体をするりと潜り込ませるとまた、かちゃり、と静かに扉を閉じる。 そうして私はようやく、 「――はぁー……」 と、大きなため息を一つ付いて、冷たい扉に背中を預けた。 ――今日の仕事はとりわけ大変だったな。 好きでやりはじめた仕事とはいえ、それが仕事終わりにくる疲労を軽減させてくれるかというと、実際にはそれほどでもなく……。 強い達成感と同時にやってくる、その仕事量に比例した疲労感。 それが、一晩しっかり休んでも回復せずに次の日の朝にまで持ち越してしまうことも最近たまにあってしまったり。 昔はこんなことなかった。若かった頃は――なんて言い出してしまいそうなあたり、私ももうそんなに若くはないのかな。 高校を卒業して、大学を出て……。 昔からの夢、それを一途に想い、叶える事が出来、そして今も忙しいと漏らす私はずいぶんと幸せ者だ。 幸せ者の……はずなんだけどなぁ。 私はもう一度、はぁ、と大きめなため息を付きながら、そのままずるずると背中を滑らせて、玄関の床にペタリと腰を下ろす。 …………。 ……ああ、いけない。悪い癖だ。 こんなところで休んでどうするのよ。 服にだってシワにが出来ちゃうし、せめて……、リビング、ま、で……。 よっこらしょっと腰を上げ、よたよたおぼつかない足取りで、リビングまで一歩、二歩……。 途中、着ていたコートを壁にあるハンガーにかけると、リビングにあるお気に入りの座椅子に、身体を投げ出すように私はえいやっと飛び乗った。 柔らかい、クッションの感触が私を優しく受け止めてくれる。 四肢をぐたりと投げ出して、一息小さな深呼吸……。 ふぅ……お疲れ様、私。 疲れが重力に従うように下へ下へと落ちていき、私からゆっくり溶け出していくような錯覚。 半分、このまま寝ちゃってもいいのかな? なんて本気で思っている私が居たりして。 でも、駄目だ。 化粧を落とさないといけないし…… お風呂も…… そう、思うだけでいっこうに起き上がろうともしないココロと身体。 もしこんなトコロを誰かに見られてしまったら、もう一生あいつのコト、『だらしない』だなんて言えないよね。 この前あいつが言ってたコト、今ならすっごく理解できる。 まぁ流石に服を着るのが面倒臭いからってハダカで寝るようなことはしないけど。 あいつの…… こなたのコトを思い出した私の口元に、自然と笑みがうまれた。 ホント、あいつってばだらしないナ。 掃除もろくにしない。 出した本は収めない。 夜だって、遅くまで起きてるみたいだし…… そういうトコ、知り合った頃とあんまり変わってないよなぁ。 でも、一人暮らしをし始めてから、それがもっと酷くなっているような気がする。 私がちょこちょこ顔を出して、色々してあげてるのがいけないのかな? でも、あいつのコトを放っておくのは私の精神衛生上、良くないし、ね。 ごろりと寝返りをうつように、その場で身体ごと横に向けて寝転がる。 頬に触れるきめ細やかな生地の感触が心地良い。 そういえばこの椅子は、私の引越しの時のお祝いに、こなたがプレゼントしてくれたんだったっけ。 私の誕生日のたびに、変なコスプレグッツをプレゼントしてくれるのは今も相変わらずで、こなたからまともなもモノを貰ったのって、この時が初めてじゃあなかったかな? 嬉しかったなぁ。 別に、実用品だったから嬉しいって訳じゃないんだけどね。 あの変なコスプレグッツだって、貰う時は文句を言ったりしてるけど。 全部……。 全部、箱にしまって大切に保管してるってコト、あいつは分かっているのだろうか。 時々、箱の中から取り出して、あの時はこんなことがあったな、とか、その時のこなたの表情はああだったな、とか。 全部、忘れないように……大切に箱の中に仕舞ってあるんだけどなぁ。 そこまで考えてから、私はもう一度ごろりと、反対側に寝返りをうつ。 駄目だなぁ……私。 あいつのコトを思い出し始めたら、私は歯止めがきかない。 いろんな表情の彼女の姿が頭に思い出せれてきて。 ……ここに。 この場所に、彼女が居ないということが。 私を、とても寂しい気持ちにさせてしまう。 ……会いたいな、こなた。 でも、ううん、駄目……。 私から、「一週間に一回」って決めたんだもの。 私がこなたと一緒に過ごせる唯一の時間。 それ以上でも、それ以下でも駄目。 多くても、少なくても……私はきっと、我慢出来なくなるから。 おととい会ったばっかりだから、あと……5日、かぁ。 長いよね……一週間。 「はぁ……」 まぶたを強く瞑って、生まれる濃い暗闇に雑念をかき消す。 やや身体に戻り始めていた英気を消費して、私はむくりと立ち上がった。 お風呂……沸かさないと。 お腹も減ったなぁ。 朝、あらかじめ洗っておいた風呂釜に、すこし熱めのお湯を流し込む。 お湯がたまるまでの間、何か、料理作ろうかな。 深夜の食事は身体に悪そうだけど、今食べておかないと明日分の元気も回復しそうにない。 軽いもの……スパゲッティでも作ろうか。 鍋にお湯を入れて数分、沸騰したお湯にパスタを落として泳がせる。 その間にべつの鍋で少しだけ煮たほうれん草を、炒めたベーコンと合わせて……。 「――うん、まぁ、上出来かな」 お風呂のお湯を止め、出来上がった料理を口にする。 ベーコンが……ちょっと重かったかも。 でも油は極力使わなかったし、ベーコンやパスタの量も加減したし……。 だ、大丈夫よね、体重。 今日はしっかり働いたんだもん。 大丈夫……の、はずよね。 昔から、私は食べ物の誘惑にはとことん弱い。 そうして、食べてお腹が膨れてから、いつもこうやって後悔と自責とを繰り返している。 そのことを、こなたにもよくからかわれていたな。 でも、仕方ないじゃない。 美味しいものって、美味しいと思えるときに食べないと、勿体無い気がするんだもん。 ……って、こなたにもそう言ったら 『そうだね。かがみは本当に美味しそうに食べるもんねぇ。作りがいがあるってもんだよ』 ……だって。 こなたが作る料理は、私のと違ってとっても美味しくて……。 うぅ、思い出すとまたお腹が……。 そういえば最近、こなたが作った料理って、食べていないなぁ。 こなたが一人暮らしを始めた初期の頃は、よく訪ねてきた私に、色々料理を作ってもてなしてくれてたっけ。 こなたは…… なんだか最近、家で作るよりも外食のほうが増えてきたみたい。 私が心配してそれとなく聞いても、こなたは「そんなことないよー」なんて言ってくる。 ……そんな嘘、キッチンを見れば一目で分かるんだから。 やっぱり……また、ご飯を作りに行ってあげよう。 今週はなにを作ってあげようかな。 こなたが好きなもの……。 最初の頃は色々リクエストしてきて、料理に不慣れな私を困らせてくれたのに、今は、「どんなモノがいい?」って私が聞いても、「何でもいいよ」って答えが返ってくるばかりで、別の意味で私を困らせるんだから。 もしかして、私の料理……飽きちゃったのかな……。 せっかくあいつが喜ぶように、好みの味付けとか一生懸命覚えたのになぁ。 「ふぅ……」 もう、何度目のため息だろ……。 あぁ、なんだかココロが重たい。 こんな気分の日はお風呂にでも入って、すぐに寝るのが……一番、よね。 スーツの上着に手を掛けて、それを丁寧に脱いでコートの隣にかける。 シャツのボタンを上からゆっくりと外していく途中、ふと、テーブルの脇に置いてある黄色いフォトフレームが目に留まった。 中に収められているのは、楽しそうにしてる、あいつの笑顔。 いつか、二人で遊びにいった時に撮ったんだっけ。 その中の彼女に視線を合わせ、じっと見つめた私は、 ……ぱたり、と、その写真立てをテーブルに伏せて、そのままバスルームへと向かった。 ――ちゃぷん…… 「あっつぅ…!」 片足の指先だけをお湯に漬けて、その温度を測る。 必要以上に熱いと感じてしますのは、たぶん、今だ冷えてしまったままの私の足がそう錯覚させているせいだろう。 我慢してそのまま沈めていくと、痺れたような感覚のあとに、じんわりと気持ちの良い温かさが私を徐々に包んでくれていく。 胸の辺りまで漬けることに成功した私は、そこで、ふぅ、と一息をついた。 浴槽の縁に腕を乗せ、それを枕代わりにおでこを乗せて。 私は小さな声で、鼻歌を口ずさんだ。 「気持ちいい……天国ね。ここ……」 なんて台詞も自然と口から出てきてしまう。 疲れがじんわりとお湯に溶け出していくようで……。 あぁ、ごくらく~♪ ふん、ふ~ん♪、ふん……ん? 私の鼻歌に合わせて、遠くで音楽が鳴っているような気がする。 ……いや、鳴ってる。 携帯電話だ。電話が着信してるんだ。 この着メロ……、こなたっ! ザバァッとお湯を巻き上げて、私が浴槽から片足を出したとたん、その音はぴたりと鳴るのをやめる。 一瞬、このままお風呂から出て、すぐにかけ直そうかどうか悩む。 もう遅い時間だし、私が出ないのを知った彼女は、諦めてそのまま寝てしまうかも知れない。 明日の朝にかけてもいいけど、もし、今しか駄目な要件だったら……。 そういうのに、私は心当たりがあった。 それは、もうみんなが眠ってしまっているような時間。 そんな時間に、ふいになんとも言えないような寂しさに襲われて。 自分じゃあどうすることも出来なくて。 誰かの声が聞きたくなって。 ……私の場合、こなたに電話して慰めてしまったこと、あったよなぁ。 その時感じた想いの欠片が、ツキンとココロに思い出される。 もう、躊躇はしない。 私は十分に温まってない身体を、バスタオルに包んでリビングに出た。 テーブルに置いてある携帯を持ち上げると、 それと同時に着信音が、 「――こなたぁっ?」 急いで開いて耳に当てる。 でも、返答がない。 なんだろう……。 不思議に思ってディスプレイに目をやると、『不在着信:一件』のほかに、『メール:一件』の、文字が。 さっきの、メールだったんだ……。 恥ずかしい、少し叫んでしまった。 照れた顔のまま手馴れた指使いでメールフォルダを開いてみる。 可愛い絵文字付きで、 件名 [ ゴメンネ ] 「もう寝ちゃったカナ?」 そんな短い文の中から、片手を顔の前に立てて「ゴメン」って謝るこなたの姿と、小さく小首をかしげるそんな仕草が、私の頭に想像できた。 ふふ……寝てないわよ、こなた。 発信履歴から、彼女の名前を選んでかけた。 三回目のコール音がなる前に、彼女のゆったりと間延びをした声が、私の耳をくすぐった。 「かがみぃ?」 「なぁに、こなた」 私はくすりと微笑む。 「うん、ゴメンネ、夜遅くに……」 「べつにいいわよ、寝てたわけじゃないから」 「でも、電話に出なかったから、起こしちゃったのカナって……」 「お風呂に入ってたの」 「……じゃあ、かがみん今ハダカ?」 ばぁか、と私は小さく笑い、そのまま座椅子に腰をかける。 「どうしたの? こなた。何か……用事? それとも……」 「う、うん、そうなんだけどー……って、『それとも』……?」 「それとも、私の声が聞きたくなったとか?」 一瞬の沈黙。 ややあって受話器の向こうから、ぶっ、と吹き出しながら笑う彼女の高い声が聞こえてきた。 「――ぷ、ふふふ……、かがみぃ~、もしかして酔っ払っちゃってる?」 「冗談よ、冗談」 「やっぱ酔ってんだね」 「あんたが申し訳なさそうに話すから気を使ったの。ホラ、感謝しな」 「ふふ、ありがと、かがみ」 くすくすといつまでも笑う彼女の声。 このぶんだと、私がさっき心配していたようなこと、無かったのかな。 こなたの声を聞くまでは、あんなに不安や心配に満たされていた心が、聞いたとたんに溶けてしまったかのように、今度は安堵や安心に満たされていく。 たった二日間会っていないだけなのに、その声がとても愛おしく感じてしまうのはなぜなんだろう。 「えーと、あのね、かがみ」 「うん、なに?」 言い出しにくそうに、歯切れ悪く話すこなたの声。 「来週のコト……何だけどネ?」 「来週……?」 彼女が言っている「来週」とは、いつも私がこなたの部屋に通っているアレのコトだろう。 ――って、まさか……来週はこなたがいないとか? 出掛けて、会えない……とかかな。 仕方ないけど、だったら、私は……。 「来週、かがみってさぁ、一日中空いてたりする?」 「え……?」 空いてる? ……何が? 「久しぶりに外で会おうよ。同僚に映画のチケット貰ったんだぁ。だから……かがみと見たいなって……」 「映画……こなたが、私と?」 「無理っぽいかなぁ」 「……」 「……かがみ?」 映画のお誘い……こなたから……って、 これって、もしかして…… 「そっか……かがみ、忙しいから無理だよね、ゴメ……」 「ん――って、ちょっと待て! 私まだ何も言ってないじゃないっ!」 「……でも急に黙っちゃうしさぁ」 「ちょっと待ってて、予定っ! すぐに見るからぁ!」 「え、あ、うん……」 急いでコートに駆け寄って、メモ帳を取り出そうとする私。 内ポケット……うぅ、片手じゃ出しづらぃ……っと、取れた。 予定、予定は……と、 「何曜日? こなたはいつならいいの?」 「来週だったらいつでもいいよ。ただ映画は日曜日が最終だから」 「日曜日ね……うん」 スケジュールを頭の中で調節する。 このところ、家にまで仕事を持ち込むことも多かったから、一日中休みってことも少なかったなぁ。 これをあそこでやって……、あれは明日中に……よし。 「こなた……金曜日、いいかなぁ」 「大丈夫なの?」 「うん、なんとか休みが取れそう」 「ホントに?」 「なんで嘘付く必要があるのよ。来て欲しくないのか?」 「う、ううん、そんなコトッ!」 「じゃあ、決まりね」 何故か焦っている様子の彼女が可笑しくて、そのままくすくすと笑う。 でも受話器の向こうは何故か沈黙。 「やっぱ……運命……♪」 ぼそりと聞こえる彼女の声。 「うん? こなたぁ、何か言った?」 「い、いや、別にナンデモナイヨ、こっちの話」 「何よその含みのある言い方っ!」 「でも、かがみぃ、デートなんてホント久しぶりだよねー」 「デートって、女同士じゃない。成立しないわ」 「それでもこれはデートなんだヨ。何故なら愛し合う恋人同士がーッ!」 「はいはい……分かった分かった」 「もー、最後まで聞いてよネ」 「なんだっていうのよ……」 「かがみぃ、いっぱいおめかしして来るんだよ? 最高に可愛くしてさぁ」 「ナンパにでも行くのか? どうしようって言うのよ」 「いいじゃーん。たまにはスーツじゃないかがみも見たいっ!」 「そんな理由かっ」 「いい? かがみ。これはデートだよ、それも恋人同士の久しぶりのデート。だからいっぱい気合いれないと」 「なんだ、それは」 「そんな感じのシチュでっ!」 「結局それかよ」 このこなただけはいつまでも変わらない。 でもそんな彼女と一緒に居続ける私も相変わらずか。 電話越しに聞こえてくる、ハツラツとした彼女の笑い声が、私に元気を分けてくれる。 一緒にいると、安心できて、とても……とても楽しくて。 いつまでも一緒に居たい。 このままで居たいって思えるのに、でも……。 「じゃあかがみ、また来週ね。私もしっかりドレスアップしてくるからさ」 こなたの口調は一緒なのに、何処と無くそのトーンは落ち着いたものになっていた。 別れの言葉を言うのは、いつも……辛い。 切り出すタイミングが分からなくて……、いつまでも話していたくて。 電話で話すときは、いつも、こなたのほうから言ってもらうようにしてる。 私は彼女にむけて、「はいはい、期待して待ってるわよ」なんて憎まれ口をたたいて、その寂しさを少しだけ誤魔化そうとしてるけど、……こなたは、きっと分かっているんだろうな。 「ふふーん、そうだね。楽しみにしててよ」 出来るだけ、無理して明るく見せようとしてるのが、その声を聞いて分かるんだから。 「うん……おやすみ、こなた」 「おやすみネ、かがみ」 「……うん」 別れるまでの少しの余韻。 少しだけ、繋いだままその沈黙を楽しんだ私達は、 ――Pi、 お互い同時に終話ボタンに指を掛ける。 視線を落として、しばらく私は携帯のディスプレイを眺め続けた。 携帯電話を強く握り直して、そのまま、ぐたり、と座椅子の背もたれに寄りかかる私。 ……週末、金曜日……デート、かぁ…… こなたとの会話を思い出しながら、持ち上げたままの携帯をじっと見つめて、私はゆっくりとため息をついた。 デートだなんてさ、恋人同士とか…… こなたこそ……そんな気も、無いくせに。 いつも、私のほうからこなたに近付こうとしてる時は、 こなたはそれを、私の決意ごと…… 全部、無かったことにして冗談に変えてしまう。 でも、人のコトばかり言えない。 ……私も一緒か。 こなたが甘えてきてくれても、全然素直になれなくて。 これ以上近付くのが不安で、 色んなものから逃げたくなって。 いつも、気が付いたら同じ距離に居る私たち。 駄目だよね、こんなの。 こんなの、絶対に卑怯だよ。 曖昧な関係のまま…… 断ち切ることも、受け入れることしないで。 ずっとこのままいれたらな、なんて…… ズルイよね。 だから…… ――もう、そろそろ終りにしようか。 今度のデートがいいきっかけなのかも知れない。 こなたも、もしかしたらそれを望んでこんなコトを計画したのかもしれないし。 だったら、今度こそ、私も逃げないで全部打ち明けないといけないな。 私はむくりと上半身を起こして、テーブルに伏せた形で置いてある、黄色い写真立てを持ち上げた。 写真の中の、無邪気に笑う彼女。 朝起きた時や、仕事のちょっとした合間。 ボーっとしている時、食事の時、お風呂に入っている時、そして今。 眠っている時の夢の中にだって、たぶん。 いつも……いつだって、私の中に彼女はいる。 考えてない時間のほうが少ない。 気が付いたら、彼女のコトばかり考えていて。 ……私が仕事にうち込むのも、もしかしたら、こなたのコトを考えていない時間が欲しかったのかもしれないなぁ。 ふぅ……、と何度目かになるため息を付いて、私は立ち上がる。 身体に巻いていたバスタオルをほどいて冷えた身体を拭くと、パジャマに着替えてから、髪をドライヤーで乾かす。 ほんのり火照る髪を、櫛でゆっくりと流し。 ふわり……、飛び込むように。 ベッドの上へと身体を預ける。 たぶん、これから私は彼女の夢を見るんだろう。 夢に出て来る彼女は、いったいどんな表情をしているのだろうか。 願わくば、せめて。 ……幸せな夢であることを祈って。 私はパチリ、と……、部屋の灯りを消した。 next..... コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-11 20 03 46) つづきを心待ちにしてます。 -- 名無し (2009-10-09 23 05 19) 自作× 次回作○ 失礼しました。 -- kk (2009-09-09 21 07 36) 三部作との事ですので、自作を楽しみに待ってます。 あなたの作品はどれも大好きで、何回も繰り返し読んでいます。GJ!! -- kk (2009-09-09 21 06 03) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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空は、白と青のコントラストに彩られていた。雲という名のブラインドに 覆われていた太陽が、その切れ間から徐々に顔を出し始めていく。 そして、そんな空の真下で、私とこなたは視線を浮かせていた。 「ねー、かがみぃ」 「ん~? どうかしたの、こなた」 「私たちってさぁ、いつからこうしてるんだっけ?」 「……はぁ。今更な質問ねぇ」 浮いていた視線を戻しながら、こなたの方を向く。 合わせてこなたの方も、微かに眉をしかめながら首を動かす。 「まぁいいや。今だけは時間なんて関係ないよ。かがみもそう思うでしょ?」 「う~ん。そりゃあ、まあそうだけど」 「それに、こんなにがっちり手を握られてちゃあね」 そう言うとこなたは、空いている左手で矢印を作りながら、 交差している自分の右手と、私の左手を指さして笑っていた。 その仕草が、可笑しくて、ちょっとだけむかついて……可愛くて。 「バカッ。それは、アンタの方から――」 私たちのやりとりは、しばらくの間続いた。 歓声が遠くから響き渡る、建物の一角で。そう、ここは家でも、 アニメショップでも、ましてや映画館でもない。 「もう少し、気楽に行こうよ? 私は、数学の教科書なんかじゃないんだしさ」 「……うん、そうよね。空だって、こんなに青いんだし」 ――学校の屋上。そこに、私はこなたと一緒に居た。 私たちの中の、本当の想いを伝えあった場所に。 だって、今日は卒業式。こなたに、告白された日―― 『彼方へと続く未来』 最終章 (前編) 体育館は、静寂に包まれていた。いつもは部活動や体育の授業で賑わっていた この空間も、今は陵桜学園の卒業式の舞台として、飾り付けが施されていた。 演奏と共に道が開かれて、私たち卒業生の入場を合図に式は始まった。 校長先生の祝辞に始まりクラス代表の人への卒業証書の授与。 続けて在校生の送辞と卒業生の答辞。そして、校歌斉唱。 小学校や中学校の時とは全然違う、感慨深い何かが私の心の中で モヤモヤとしながら漂っていた。それは、整然と配置されたパイプ椅子の上 で背筋を伸ばして座っている今でも、ずっと続いていた。 ふと、目だけを動かして周りを見渡してみる。 ……左隣にいる峰岸が泣いていた。 その横にいる日下部も、目に涙をためながら、 それを流さまいと必死に耐えていた。 みんな、泣いていた。つかさも、みゆきも、私も。 そして、最後にこなたに視線を移した。 ……こなたは、泣いていなかった。 ただただ、両方の拳を握りながら、前を見続けていた。 そのこなたの姿を見て、いよいよ本当の別れが迫っていると、私は痛感していた。 その後、卒業式は無事に終わり、私たちはそれぞれの教室に戻った。 一年間苦楽を共にしたこの教室や、C組のみんなともお別れ。 教壇の前では桜庭先生が担任として最後の挨拶を始めていた。 「……では、卒業証書を渡すぞ。最初は――」 桜庭先生。普段はあまり感情を表に出さない先生だったけど、 今日だけはいつもと違う雰囲気だった。 そんな中、一人、二人と証書が渡され、いよいよ私の番。 「お疲れ様。東京の大学に行っても頑張れよ」 淡々とした声。だけど、そんな先生の上着の袖口に、真新しい シミの様なものが見えたのは、きっと気のせいなんかじゃなかったと思う。 握った卒業証書にも、ポタリと暖かいものが落ちていたような気がした。 昇降口の前は、吹奏楽部の演奏と、祝福の声に包まれていた。 飛び交う歓声と、鳴り響くカメラのシャッター音。その中に、私たちはいた。 「かがみ先輩! ご卒業、おめでとうございます!」 「ご卒業、おめでとうございます」 「ありがとう。ゆたかちゃんにみなみちゃん」 出迎えに来てくれていたゆたかちゃん達と、挨拶を交わす。 「なんか、あっという間だったよなー」 「そうね。でも、楽しかったじゃない」 そして、少し離れた場所では、日下部と峰岸が話していた。 どうやら、周りの状況を見る限りB組の生徒達はまだここには来ていないらしい。 その間も、カメラのシャッター音は鳴り続け、何故か卒業生じゃないゆたかちゃん達 までレンズに次々と収められていく。と、次の瞬間に警備の人が出てきて―― 「いやっ、ですから違うんですって! 今日は娘の卒業式で、それをこのカメラに 収めようとしただけで……って、のわーー!」 聞き慣れた悲鳴があがり、大きなカメラを抱えた中年の男性が両脇を警備員に がっちりと固められながら拘束されていった。体育祭や文化祭でも目撃した、 もはやお馴染みになっていた光景に、私は思わず笑ってしまった。 (……こなたのおじさんも、相変わらずね) 違う意味で涙を流しながら、ふと空を見上げてみる。 輝く太陽と、白く塗られた月。それは、互いに離れた所から 私たちを見下ろしていた。加えて、戻した目線の先には、桜の木。 枝の先には、大きな蕾。この蕾が開く頃には、私たちと入れ替わりに 入って来た一年生が、この桜を見るんだよね……。 春が来るたびに降り注いでいた桜の花びら。それはまるで、私たちの変化を 見逃すまいと、常に同じ時期に咲こうと示し合わせている様に思えたくらい。 それ程、私は“桜にも”ずっと見守られてきた。 ――最初は、小学生位の頃に見た桜。 理由は忘れちゃったけど、ひらひらと花びらが舞う境内の中で、 お母さんに長い時間泣きついていた記憶がある。 次は、中学二年生の時に教室の中から見た桜。 今よりも、ずっと強がっていた私に、友達になろうよと話しかけてくれた 日下部達と出会った時も、桜は私の傍にいてくれた。 そして最後は、高校三年生のクラス替え発表の時に見た桜。 つかさ、みゆき、そしてこなたと一緒のクラスになれなかった三回目の春。 みんなの前ではクールなつもりでいたけど、結局外の桜を見ながら 落ち込んでたっけ……そんなことを考えながら、改めて周囲に視線を移してみる。 笑いながら写真を撮っている人、抱き合いながら泣いている人。 みんな、それぞれの立場で卒業の二文字を受け入れている。 それは、私たちも同じだったみたいで―― 「ヤフー、か~がみん」 遠くから聞こえてきた、アイツの声。それに対する私の反応は……。 「オッス、こなた」 いつもと同じようで、全く違っていた。声の変化と、逸れる瞳。 それは、こなたと一緒に歩いてきたつかさとみゆきにも伝わっていたらしく、 二人とも、何も言わないでただ頬を緩ませているだけだった。 準備は、ちゃんと終わらせてきたつもりだった。 こなたに悟られないように、本人の前では極力冷静さを装った。 いつもと変わらない接し方をしながら、この日が来るのを待っていた。 「あれあれ~、どったのかがみん。なんかいつもとふいんきが違うよ~?」 「それを言うなら雰囲気じゃないのか? アンタのパソコンじゃあるまいし」 「な~んだ、やっぱりバレちゃったか。でもさ、そんな前の時のこと覚えてるなんて、 さっすがかがみん。抜かりないね」 「そりゃどうも。あんまり嬉しくないけどね」 ……もう、結局最後までこのノリなのね。でも、私はあの頃とは違う。 隠して、隠して、隠し通してここまで来てしまったのだから。 だから、今だってこなたを直視出来なかった。それこそが、私の誤算。 想いを、告げるなら今しかないのに……私は切り出せなかった。 頭のどこかに残っている何かが邪魔しているかの様に。 周りは、祝福に包まれている。なのに、私は、私だけは……。 心が、どんどん暗くなっていく。深くて、ドロドロとした感情が溢れてくる。 誰か……誰か助けて! 私は、怖くなってなりふり構わず声を 上げようとしたのだけれど。 「――お~い。みんなで記念撮影するから、とっととこっちきぃや~」 それは、グラウンドの方から聞こえてきた声によってかき消された。 声のした方を見ると、黒井先生と桜庭先生がカメラを持ちながら、 私たちに向かって呼びかけていた。 「わ~、記念撮影だって。ね、早くみんなで行こうよ~」 「そうみたいですね。それじゃあ、参りましょうか」 楽しげに話しながら、つかさとみゆきが歩き出した。 こなたも、それに合わせて歩き出そうとしている。 「ん……そうね。みんな待ってるみたいだし」 違うっ! 私が言いたかったのは、そんなことじゃない。 鈍重な波が渦巻く私の横を、つかさが、みゆきが、 日下部達が通り過ぎていく。 「んじゃあ、私たちも行こっか」 最後は、こなたが通り過ぎる番……だったのだけれど、 そこで私は予想外の事態に陥った。意気揚々と何かのアニメの音楽を口ずさみ ながら、みんなと同じように横をすり抜けようとしていたこなたが、 『……後、……で……』と、私の耳元に囁き、足早に去っていったからだ。 瞬間、私の身体に携帯電話の小刻みな振動音が響いていた。 鈍い光を放つ鉄製の扉。その前に私はいた。動悸、息切れ、襟足に走る震え。 幾つもの症状が全身を駆け巡り、鞄を持つ手に力がこもる。 でも、今さらもう後悔なんてしてないし、後戻りする気もない。 「十分後、屋上で待ってて……か」 携帯に送られてきたメールには、そう書き綴られていた。 これから、屋上でこなたにどんな話をされるのか、それは私には分からない。 だけど、だからこそ、私は自分の中にあるこの想いを伝えたい。 決意。ただそれだけを胸の内に止めて、私は静かに扉を開いた。 「ふぅ……いい風」 久しぶりに入った屋上は、爽やかな空気に包まれていた。 錆付いた鉄柵や、塗装が剥げた給水塔。その一つ一つが、私の記憶の奥底にある 屋上のイメージを、静かに汲み上げていた。目の前にいる、蒼い髪の女の子を除けば。 「時間通りだね、かがみん」 こなたは、先に待っていた。右手の親指をたて、 左手で卒業証書の入った筒を脇に抱えながら。 「ここで良かったのよね? 待ち合わせ場所」 返事の分かり切っている質問をしてみる。 「うん、そうだよ」 予想通りの答え。 「……」 「……」 そして、沈黙。 「今日で、卒業なんだよね」 先に口を開いたのはこなた。 「そうね。何だか、あっという間だったわね」 続けて応える私。 「――それで、私に話したいことって?」 今度は、私が先手を打つ。 「うん、実はね……あ、その前に渡したい物があるんだけど」 「渡したい……物!?」 ドクン。心臓が、一際大きく脈をたてた。もしかして、こなたも……? 想像は、もうすぐ現実になる。左手に下げた鞄の中身。卒業証書の入った筒と 一緒に挟み込んでいた大事な物が、カチャリと音をたてた様な気がした。 一方のこなたの方はというと、こんな私の状況を察しているかの様に、 静かに、そしてゆっくりと筒に手を伸ばしていた。『ポンッ』という小気味いい音 と共に蓋が開けられ、その中から、卒業証書とは違う、もう一枚の丸まった紙が 勢いよく取り出されていた。 「はい、これが渡したい物だよ」 顔をほんの少しだけ赤らめたこなたから受け取った一枚の紙。 見た目はただの画用紙にしか見えないそれを、私は冷静さを装いながら広げた。 「えっ、これって……」 目の前に広がっていたのは、クレヨンで描かれた風景画だった。 地平線の向こうに浮かぶ満月と、遥かに広がる大地。 その中心には、互いに身を寄せあう二羽のウサギがいた。 「こなた、もしかしてこの真ん中にいるのって……私?」 「うん、そうだよ。名付けて、寂しんぼのかがみウサギ」 「じゃあ、このもう一匹のウサギって……」 一羽は薄紫色をしていたので、なんとなく理解はできた。 気になったのは、緑色の瞳に蒼色の毛を纏ったもう一羽のウサギ。 頭の上には緑色に彩られた葉っぱの様な物と、ピョコンと飛び出たアホ毛。 まるで絵本にでも出てくるかのような、小さな生き物の絵。 お世辞にも上手だなんて言えなかったけれど、幾重にも塗り重ねられた クレヨンの粉が、こなたの努力の跡なのだと私に教えてくれた。 「そう、私だよ。私も、ウサギになってみたんだ」 頬を赤く染めながら、こなたは言った。 「どうして、なってみようって思ったの?」 戸惑いを隠しながら、真相を尋ねてみる。 「だって、こうすればずっと一緒にいられるじゃん。私が地球で、かがみが月。 この絵みたいに、離れないでずっとこのまま。今までも、これからもネ」 ザァッ……屋上に、強い風が吹き付けた。 そっか、こなたも耐えてたんだ。内側にある感情を 表に出さないようにして、最後までいつも通りにいられるようにって。 全く、コイツときたら。とことん私に似てるんだから。 「あははっ。私ってワガママだよね。明日向こうに行っちゃうのにサ」 「ホンッと。アンタも、私と同じくらい素直じゃないわよね。 もう少し、自分の気持ちに正直になりなさいよ」 「――じゃあさ、素直になってもいい、かな?」 ……えっ、私の聞き間違いかしら。今、こなたは何て言ったの? 『素直じゃないわよね』確かに、その話しを振ったのは私だけど、 応えたこなたの声は、明らかに私の予想とは違う意味を含んでいるようで。 分からない。何で、ナンデ? あんなにつらく当たったのに。 怒らせるようなこともいっぱい言ったのに。 「聞いて」 こなたが、真っ直ぐに私を捉えた。 制服の襟が、横風を受けてバタバタと揺れる。 「私……嬉しかったんだよ? かがみと出会ってからの三年間の全部が。 もちろん、つかさやみゆきさんと居た時も楽しかったよ。でも、かがみと 居た時は、もっと特別だったんだ。何だか、胸がモヤモヤしてきて」 細い手足。震える肩。こなたは、必死に喉の奥から声を絞り出していた。 「段々、かがみのことばかり考えるようになってた。 かがみに何でも話したくなって、わざとふざけてもみた。 でも、押さえきれないんだよ! だからっ、だからっ……」 こなたの唇が、ゆっくりと動いた。 「――私、かがみのことが……好き」 告白は、一瞬だった。好きという響きが、頭の中で駆けめぐっていく。 “好き”この言葉が持つ意味は、私自身が良く分かっていた。 お母さんが教えてくれた好きと、こなたが伝えてくれた好きは同じ。 だから、私とこなたは惹かれ合った。こなたも、私と同じだった。 こなたは、じっとしたまま私の返事を待っている。 小刻みに震えながら、独りきりで。 早くしないと、こなたにまた悲しい思いをさせてしまう。 全身の緊張は、ピークに達していた。 多分、私の顔、真っ赤なんだろうな。 ごめんね。最後まで素直じゃなくて。 ……今、全ての思いを込めよう。 限りなく広がる蒼い海に、永遠に誓うわ。だから―― 「私も、こなたのことが、好きよ」 やっと言えた。伝えられそうで、伝えられなかった言葉。 ずっと燻り続けていた心の灯火に、ようやく決着をつける時が来た。 だけど、私は許してしまった。“アイツ”が、灯火に侵入してくるのを。 「女の子同士だからとか、そんなの関係ない。でも……」 灯火に集まってきたのは、赤い火種ではなく、黒い炎だった。 メラメラと燃えるそれは、“もう一人の私”が持つ強力無比な力で、 否応なしに身体中を支配していく。 「私は……傷つけた……」 必死にもがいて、口から言葉が出ようとするのを抑えつける。 「この左手で、私はこなたをっ!」 だけど、私の抵抗は泡の様に次々と溶けていった。 代わりに、脳裏に浮かんできたのはあの日の記憶。 舞い散る雪、振りかざした手。そして、こなたの腫れた頬。 私は、卑怯者だ。いつも負けん気で強いふりをして、 人にあれこれ言ってばかりいるのに、また逃げようとしてる。 これじゃあ、“もう一人の私”が言ってた事の繰り返じゃない。 「ごめんね、ごめんねっ。こなたぁ!」 暴走した感情。行き先を失ったそれは、涙に形を変えて流れ続けた。 曇り始めた空。太陽は、いつの間にか姿を消し、屋上に吹く風が、 涙で濡れた頬をただひたすら撫でていく。 「……う、あぅっ……」 一体、どのくらい泣き続けていたのだろう。涙の海に覆われた景色は ぼやけたままで、いるはずのこなたを、視界に捉えることすら出来ない。 そう、捉えることが出来なかったはずなのに。 「かがみ」 だけど、こなたは違った。真っ直ぐな瞳で、じっと私を見ている。 全てを包み込んでくれた……お母さんの様な優しい目で。 涙で視界はぼやけていたけれど、それだけははっきりとわかった。 「お願いだから、もう泣かないで」 左手に、こなたの右手がそっと触れるのを感じた。 あっ。こなたの手、すごく……暖かい。 「ほら、今のかがみの左手、すごく優しい感じがする」 「こ……なた」 「あの時はものすごくツンツンしてたけど、大違いだね」 「しっ、しつれ……いね。別に、ツンツンなんてっ」 もう、声になっているかすら分からない。 なのに、こなたには全部筒抜けで。 「そんな言い訳は通用しないよぉ。それに……」 ふわりと、こなたの髪が揺れた。 私とこなたとの間にあるほんの僅かな距離。 それをゼロにする為に迫ってくる蒼いカーテン。 刹那、私の右頬にとても柔らかいものが触れていた。 「ふふっ、これでおあいこだよ。かがみっ」 濡れた唇をゆっくりと離して、こなたは笑顔でそう言った。 目を瞑る間もなく起きた、一瞬の出来事。生まれて初めてのキス。 曖昧だった世界が再び彩られ、マシュマロの様に柔らかったこなたの 唇の感触の余韻が、私を包む。こぼれる涙は止まる気配を見せ始めていたけど、 目の前にいるこなたを見て、また流れ始める。その繰り返しだった。 『ありがとう、こなた』精一杯の声でそう告げた後――私は、こなたの 小さな右手をぎゅっと握り締めた。柔らかくて、ちょっとだけ汗ばんだ感触。 私たちは、ずっと繋がり続けた。何十秒も、何分も。 空は、青と白のコントラストに彩られていた。 雲という名のブラインドに覆われていた太陽はいつのまにか支配から 解かれ、高々と広がる空の上で、燦々と輝きを放ち続けている。 「ねぇ、こなた」 繋いでいた手を離しながら、私はこなたの方に振り向いた。 「んっ……どったの?」 名残惜しそうに、こなたの右手が空を切った。 「私も、こなたにあげたい物があるんだ」 「かがみも?」 「うん。私も」 短い言葉を残して、私はさっきのどさくさに紛れて床の上に倒れっぱなしに なっていた鞄に手を伸ばした。無造作に転がっていたせいで埃だらけになっていた鞄。 それを手の平で払い除けて中にある小さな四角い箱を取り出した。 箱の周りはリボンで綺麗にラッピングされ、いかにもかわいらしく 装飾されていた……まあ、大半はつかさに手伝ってもらったんだけど。 「かがみ、それって……?」 カクンと首を横に傾けたこなたに、私はゆっくりと箱を手渡した。 『開けてみて』その一言が合図。ガサゴソと音をたてながら、箱が開かれていく。 そして、『わぁっ――』驚きとも、感嘆ともとれるような声が聞こえてきた。 こなたの右手には、私が贈ったプレゼント……蒼い石の装飾が施された ブレスレットが乗せられていた。 あの時、店員さんに教えてもらった説明書で作った、 世界に一つだけのモノ。 「も、もしかしてこれ、かがみが作ったの?」 「ん、まあね。だいぶ手伝ってもらったりしたけど」 「なるほど、つかさに手伝ってもらったんだね。通りで出来が良すぎると……」 「……あんた、ひょっとして喧嘩売ってんのか!?」 こなたの頭に、回避不能な位の速さでデコピンをお見舞いしてやった。 「いたたたた、冗談だよぉ。全く、告白オーケーの後で すぐこれじゃあ、先が思いやられるよ」 「悪かったわね、狂暴で……でもね、こなたのことが好きなのは本当よ。 それに、今あげたブレスレットには特別な意味があるの」 「特別な……意味?」 こなたが、今度は両手の先にブレスレットを乗せながら、 それを太陽の光の元に晒していた。 「この青い石の名前はね、菫青石っていうのよ」 「きんせいせき?」 「そうよ。そして、この石の宝石言葉は“自立”。甘えたい心をコントロールして、 持ち主の自立を促進してくれるんですって。今のこなたにぴったりでしょ?」 甘えたい。むしろそれは私の中に募っていた重みだった。 けれど、心を許した相手であればあるほど、それをコントロール しなくちゃならない。だから、この環は“私”が自立する為のきっかけ でもあった。教えてくれたのは、目の前にいる小さな恋人。 『うん、ありがとう。大切にするヨ』未来へと引き継がれた蒼色の環。 丸いそれを手首にはめて、こなたは嬉しそうに腕を上下させていた。 そのたびに、綺麗に整えられた長い髪がサラサラと揺れて、 空気に吸い込まれていくような錯覚を覚えた。空と同じ、蒼い色の髪。 ……そうだ。いいこと思いついちゃった。 年甲斐もなくはしゃぐこなたを見て、私はもう一つの贈り物を考え付いた。 まずは、腕元に集中しているこなたに悟られない様に、自分の髪に指先を触れた。 シュルリ、という音をたてて、私のトレードマークがほどかれていく。 その先では、私の行動に気が付いたこなたが、どったの? といった様子で、こちらを伺っていた。『待ってて、すぐにわかるから』 小声でそう呟くと、私はこなたの髪の両端に手をかけた。 「わっ、くすぐったいよ」 「つべこべ言わないの。すぐ終わるから」 抵抗するこなたをよそに、私はこの日の為に新調した 髪飾り――桜色のリボンを、二つ分けにしたこなたの髪に、 一つずつ結っていった。所為、ツインテールの完成ね。 「はい、出来たわよ」 「むう~、まさか私をツインテールにするとは」 「いいじゃないのよ。私だって、人の髪型いじるの好きなんだから」 そういうのって、自分でやっても面白くない。前にこなたはそう言っていた。 正直、もったいないって思ってた。髪型変えれば、もっと可愛くなれるのに。 だから、今日は本音を出してみた。だって、もう隠すことなんかないじゃない。 それは、こなたも同じでしょ? ――と言いたかったのだけれど。 「あはっ、それなんて魔法少女? 早速明日から金髪にしてこの ブレスレットで戦わなくちゃネ。もちろん、ベルカ式で」 こなたがツインテールの先を弄びながら笑った。 きっと、また何かのアニメのネタなのだろう。 「もうっ、やっぱりアンタは」 あれ? 私、笑えてる。さっきみたいな悲しい感覚は、もうそこにはなくて。 「いーじゃん。それがいつもの私たちだもん」 「……そうね。じゃあそろそろ行こっか。これから、みゆきの家で卒業パーティするんだし」 「うん。でも、その前にもう一度だけ」 こなたが、静かに瞳を閉じた…… いいわよ。今度は、私の方から。 震えの収まった手でこなたの両肩を掴んで、一気に距離を詰める。 頭半個分低いところにあるこなたの顔。頬は再び赤く染められ、今にも 崩れ落ちそうな瞼が、ふるふると揺れていた。 なんだ、やっぱりアンタも人のこと言えないじゃない。でも、そんなこなたのことが 世界で一番大好きだよ。だから、これからもよろしくね。小さな魔法少女様―― どこまでも続く空。その下で、私たちの唇は一つになった。 彼方へと続く未来 最終章 (後編)へ続く コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-01-04 13 43 04) なける・・・すげー感動ッス -- 名無しさん (2010-08-13 23 26 24) 何というか感動をありがとうございます。すんごく良かったです、後編も楽しみに待ってます。 -- kk (2008-07-27 22 04 14)
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冬の厳しい寒さに手がかじかみ、私は白い息を吹きかける。 新しい年、別れの年だった。 神社の境内で私が開いた手帳には、そっと挟んだ写真達。 気付いたら、こなたばかり集めていた。 私って馬鹿だな。 本当にそう思う。 友達に混じってはしゃぐこなたの姿── ──私だけのものならいいのに そんな風に思うなんて、本当に、私は馬鹿だ。 「お姉ちゃん?」 不意にかけられた声に、飛び上がりそうになる。 「おぅわっ?! つかさ、いつからここに?!」 「ついさっきだよー」 「いきなり声かけられたら、びっくりするじゃない!」 「へへ~、ごめん」 つかさは無邪気に笑う。悩みがなさそうでいいな、なんて思うのは、酷いかな? 今日は、初?詣の日だった。 実際には私達は巫女として初詣の日は働いていたので、三が日は過ぎている。 それでも、一緒に初詣がしたい、とこなたが私達に言ったのだ。 それだけで変に期待してしまう私は、やはりどうしようもなく愚かなのだった。 「こなちゃん達、おそいねー」 「まーたどうせ、ゲームで寝坊でしょ」 「でもお姉ちゃんさ~、どうしてこなちゃんの写真、そんなに集めてるの?」 「ぶほぅっ!?」 み、見られていた!? これはもう、こ、殺すしか……。 「お姉ちゃん!? 顔が怖いよ!?」 「……べ、別に集めてないわ。たまたま、あいつと一緒が多いから、そうなってるだけよ」 つかさにも、誰にも、自分の気持ちを知られる訳にはいかない。 私だけの秘密。 「ふ~ん、でもお姉ちゃん、ほんとこなちゃんのこと好きだよね~」 これは、いよいよ殺すしか……。 「目!? 目が怖い!? だってさっきもお姉ちゃん、こなちゃんの写真眺めてたから……」 「そ、そんなことないわよ!」 「お姉ちゃん、よくこなちゃんの話をするし……」 「そんなことない! この話、もうおしまい!」 無理に話を打ち切る。顔が熱い。 しかもそこへ、話題の主がやってきた。 「おーい、かがみん、つかさ~~」 こなたがこっちに向かって走ってきて、その背後にはみゆきの姿があった。 「お待たせ~」 「いや、予想よりは早いぞ。みゆきと一緒だし」 みゆきさんは、うふふ、と笑って私を見る。 「泉さん、かがみさんに早く会いたいと走ってしまわれて、少し汗をかいてしまいました」 「ちょ?! みゆきさん!?」 「なんだか羨ましいです。お二人は仲が良くて」 「も、もう、何してるのよこなた、恥ずかしいじゃない!」 本当は、嬉しい。 「みゆきさん、バラさないでよ~」 「うふふ、すいません。なんとなく漸く発言できたというか、今まで全く台詞が無かったというか、 私と二人きりよりかがみさんに会いたいとか酷いんじゃ? なんて全く思いませんが、バラしてしまいました。うふふ」 出番の無い人間に悲しみは尽きない……! 「「マジすいませんでした……!」」 出番ありまくりの私達は謝るしかなかった。 「いいんです、それより早くお参りしましょう。私、出番が増えますように、って神様にお願いするんです。うふふ」 切実過ぎる……! 私達四人は並んで神社に参拝し、賽銭を投げてお祈りする。 こなたは、何を願うのかな? そして、私は……。 「かがみんは、何をお願いするのカナ~~?」 「ちょ、ひっつくな! あんたこそ、何をお願いするのよ?」 「へへへ」 こなたは、にこっ、と笑った。 「これからも、みんなと一緒にいられますように、だよ!」 そういうこなたは真っ直ぐで、私は自分が嫌になる。 「受験とか祈っておかなくていいのかー?」 「うお?! 新年早々思い出したくないことをかがみが言ってくるよー!」 だって、私の願いは── ──こなたと一緒にいれますように、だから。 新しい年、別れの年が始まる。 新学期が始まる。 私達の高校三年間最後の季節。 私とこなたはまだ、ただの友達だった。 昼間に会えばふざけあい、軽口を叩き合う『親友』 それでいいんだ、って自分に言い聞かせようとしても、動揺する心は消えなくて。 こなた……。 目を瞑ると、こなたの姿が浮かぶ。 いつの間にか、ずけずけと私の心に踏み込んで、すっかり居座ってしまったあいつ。 気付けばこんなにも、好きになってた。 こなた…… どうしても声を聞きたくなると、受話器片手に理由考えて、無理矢理に電話してしまう。 「あ、こなたいますか?」 こなたの家に電話をかけると、ゆたかちゃんがこなたに電話を取り次いでくれる。 「お、どうしたんだい、かがみんや、最近よくかけてくるねー、私の声が恋しいかね?」 「んな訳あるか! 馬鹿!」 「いやいや、かがみんは意外と寂しがりやだからねえ、卒業も近いじゃん?」 「べ、別に、関係ないわよ」 「かがみんは可愛いねー」 「明日会ったら殴る」 私達はいつものように下らない話をする。 からかってくるこなたが辛くて、素直な気持ちをぶつけたくなって、でも、それは出来ない。 こなたはたぶん、私のことを友達としてしか、見ていないから……。 ねえ、こなた。 「かがみ?」 不意に訪れる沈黙。 私、こんなにこなたが好きなんだよ? 途切れる会話の中でこの気持ちに気付いてよ。 お願い。 私の胸が痛みで切り裂かれる前に。 「何でもない」 と私は笑った。 私とこなたは、まだ、親友の形から出る事が出来ない。 伝えたい言葉 たったひとつ 私はあの夜を無かった事に出来ない。 もう、自分の気持ちに気付いてしまったから。 こなたは、女の子同士とか、気持ち悪いのかな。 そういうケはないって言ってたこともある。 望みは絶望的で、私だけがこなたを好きで、どうしようもなくなっていく。 時間が、止まらない。 別々の進路を行く私達の時間はもうすぐ終わろうとしている。 だから私はこの気持ちを忘れなければいけないのだろう。 駆け足で過ぎていく時間の中で、こなたの姿が眩しく目に焼きつく。 どうしていいのか分からない。 私は時間においていかれないように走り出そうとする。 でもこなたへの想いが大きすぎて、私は、走り出す事が出来ない。 このままじゃ、卒業なんて無理だよ。 言わなきゃ後悔する? 言っても後悔する? 答えは、見えないままだ。 それでも、卒業の時は来る。 いつもの朝、制服に身を包んだ私は、結局、自分の想いを心の奥深くに沈める事にした。 女の子に告白されたって、きっと、こなたは困るもの。 だから、我慢するしかない。 「お姉ちゃーん、起きてるー?」 「いま行くー!」 私は今日、陵桜学園を卒業する。 時の流れの速さに逆らう事は誰にも出来ない。 いつもの通学路も、もう通る事のない道だと気付くと違って見える。 私の高校三年間は、不思議なくらい、こなたが傍に居た。 戻れない道、戻らない道。 「今日で卒業だね、お姉ちゃん」 「そうね……」 「楽しかったなー、高校生活」 色んな事があった。 でも、でもつかさの言う通りだった。 「うん、本当に楽しかった」 こなたがいて、私がいて、つかさがいて、みゆきがいた。 この三年間が本当に楽しい宝物だった事は、絶対絶対揺るがない。 きっと、永遠に忘れない。 夢みたいな時間。 「行こ、お姉ちゃん」 「うん……」 この道の先に、こなたが待っている。 私の高校生活を誰かに託すとしたら、それは、泉こなたしか居ない。 泉こなたに始まり、泉こなたに終わる、か。 何だか笑っちゃう。 私は、強く一歩を踏み出した。 卒業式は恙無く終了した。 長い長いその儀式の間、こなたはウトウトして先生に怒られたり、私達はただ黙々と今までの三年間をかみ締めてそこに居た。 貰った卒業証書は驚くほど軽いただの筒で、こなたはそれを引き抜いた時になる、ぽん、という軽い音で遊んでいた。 「私達の高校三年間、案外軽いね」 「そういうもんかもね」 紙一枚だけ入った、ただの筒。 たぶん、本当の卒業の証は、自分の内にしかないのだろう。 「終わっちゃった……か」 もう明日から、この校舎に来る必要は無い。 自分の教室で、桜庭先生の最後のHRを聞いて、それでお仕舞い。 でも私は何故か、立ち去りがたくて、暫くぼうっとしていた。 多分、私には、遣り残した事があるから。 でもそれは、永遠に遣り残すこと。 私の想像の中で、二人の女の子は想いを伝え合い、誰よりも愛し合い二人で居る。 現実では、ただの友達。 「こっちのクラスより、こなたのクラスに居た時間の方が長かったりしてね」 私は席を立ち、こなたのクラスに向かった。 多分もう、この時間なら誰もいない。 私だけが、ここで遣り残した事があったから。 そう思った。 教室の扉を開ける。 春の風の匂いがした。 開けられた窓から入る新緑の風。 長い長い髪がなびいた。 窓枠に腰かける少女がこちらを振り返り、照れたような笑みを浮かべる。 泉こなたが、まだ教室に残ってそこに居て、私を見ていた。 まるで、私とこなたに与えられた、最後の時間みたいに。 「あれ? かがみ、帰ってなかったんだ」 「あんたこそ……」 教室には、私達二人しか居なかった。 中に入って、思わず、鍵をかける。 この時間に、私達以外の誰も入って来れないように。 「なに? かがみ、感傷に浸っちゃった?」 「あんたは、どうなのよ」 「さすがの私も、制服着るのが最後だからねぇ、制服は萌えの固まりなのだよー」 「あんたはいつもそれだな」 軽口をたたきながらも、滲む心は隠せない。 こなたも、遣り残したこと、あるのかな? それが、それがもし、私とのことだったら、と夢見ずに居られない。 私は馬鹿だ。 「かがみんの、最後の制服姿GET!」 「あ、こら、何勝手に写メとってるのよ!」 携帯を取り上げようと、こなたに近づく。 すると、こなたがいきなり抱きついてきた。 「おおー、かがみんは柔らかいなー」 いつもなら、どこ触ってる、と怒って振り払う場面だった。 でも出来なかった。 いつも、いつも、こんな風にからかって。 私が、どんな気持ちだったか……。 「あれ? かがみん?」 私は、こなたを強く強く抱きしめかえした。 「え?え?」 最後の機会。 そう思うと私は、自分をコントロールできなくなっていく。 「覚えてる? こなた、あの、泊まった夜に、私とあんた、キス……したじゃない」 もう、引き返せなかった。 あふれ出した思いを、元に戻す事は、誰にも出来ないんだ。 「あれは……」 「ずっと! 忘れられなかった! なのにあんたは、いつもいつも、私をからかって! 私が、どんな気持ちでいたか、あんたには分かんないでしょ!? 好きになっちゃ駄目だって、ずっと、ずっと思ってたのに!」 ずっと、思ってた。 こなただけを、ずっと。 私達は光差す教室の床に倒れこむ。 「か、かがみ……」 「いつも、こなただけを見てた。一番近くで。優しくされるたびに切なくなって、冷たくされると、なきたくなって、気付いたら、私、こなたのこと……」 きっと私は、必死な顔をしているだろう。 でも押し倒されたこなたも、いつもは見せない焦った顔をしている。 私は、あふれ出した思いに押されるようにして。 こなたに口づけた。 こなたは、抵抗しなかった。 「好きなの、誰よりこなたが好きなの、卒業して、全部忘れようと思ってた。でも、あんたが、いつもみたいにからかうから、私……」 もう、こなたしか考えられない。 「かがみ……私だって、私だって!」 いきなり、こなたが私をはねのけ、押し倒した。 驚きに私は固まる。 「私だって、ずっとかがみが好きだった! どんなにからかっても、いつか彼氏が出来て、笑顔でかがみを見送らなきゃいけないんだって思ってた! あの夜、あんな風になっても、何かの間違いだって、そう思い込もうとしてたのに! かがみがそんな風に言ったら、私……! だって、だって女の子同士なんだよ!? みんなに、気持ち悪いって思われちゃう……」 私はこなたの眼を見た。 揺れる瞳。 私は、もう、迷わない。 「関係ないよ」 「え?」 「みんななんか関係ない。私にはこなたしかいないから……!!」 「かがみ……」 「こなた……」 そして私たちは、それが全く自然なことみたいにキスをした。 忘れることができないくらい優しく、そっと。 抱き合ったぬくもりが、強く強く私たちを包んでいたのを覚えている。 「かがみ……!」 もう、私たちは止まる事ができない。 求め合うのが自然な事みたいに、互いの体をまさぐり、服を脱がしていく。 「こなた……」 興奮に眩暈がして、私は何度も何度もこなたに口づけられながら、互いにその体を撫で、服を脱がしていく。 もう、戻ることはできない。どうしても、できない。 そして遂に互いに生まれたままの姿となった私たちは、互いに貪るように体を重ねた。 「かがみ……!」 「こなた……こなた!」 激しく、どこまでも落ちていくように私はこなたを求め、こなたもまた私を求めた。まるで二頭の獣になったように、私たちはただただ互いを求め合った。 互いの汗で濡れ合い、湿った音を隠しもせず欲情しあう私たちは、際限なく行為に没頭し、名前を呼び合い、口づけた。 そして遂に上り詰めるそのときに、痙攣するように互いに震えながら口づけあい、強く強く抱きしめあって私たちはその充実した幸福な感覚の中に落ちていった。 こうして、私達は、結ばれたのだ。 別々の大学に進学したけど、私達は変わらなかった。 今でもしょっちゅう会うし、仲も良い。 特にこなたに関してはその、恋人、同士だし。 「いやー、卒業すると何か終わっちゃう気がしてたけど、そうでもなかったねー」 「まあな、区切りがあると、変に焦っちゃうよな」 現実なんて、こんなものかも知れない。 「でもそのお陰で、こうしてかがみとラブラブ出来るよー」 「こら、ひっつくな!」 「えー、バカップルになろうよかがみー」 「い・や・よ、もう、油断するとすぐひっついてくるんだから」 いつものような私達。 少しだけ違うのは、もう私達の間にはいかなるひずみもなく、恋人という形に納まったこと。 きっと次にウサギの夢を見るとき、ウサギはキツネと結ばれ、いつまでもいつまでも末永く幸せに暮らすのだろう。 めでたし、めでたし。 だって、それが一番じゃないか? 「かがみ、新しいゲーセンがこんな所に!」 「もう、はしゃぐなよな」 「早く早く!」 私達は変わらない。 幾多の困難があっても、この先も、きっとずっと変わらない。 私はこなたの手を握り返して歩き出した。 今までよりも、ずっと素直な気持ちで。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(´༎ຶོρ༎ຶོ`)b -- 名無しさん (2023-08-24 02 06 44) かがみんこなたと逢い引きですね!この恋続くと良いですね -- かがみんラブ (2012-09-14 22 44 27) 結婚式には呼んでくれー!! -- 名無しさん (2010-06-26 07 56 40) 続きあったんですね! 幸せになれて良かったよー!! -- 名無しさん (2010-06-25 19 51 37) なんかユメにみたシーンでした! すごいドキドキでした!! -- プリン (2010-02-08 20 18 24) 教室のシーンで谷口が再生された俺は負け組 -- 名無しさん (2010-01-22 20 49 16) リリカルで良かったgj! -- 名無しさん (2010-01-10 04 05 37) 作者様、4作にわたる大作ありがとうございます! 涙が止まりませんでした。 -- 名無しさん (2010-01-07 00 52 01) やったーっ、2人に幸あれ。 作者様、ハッピーエンドで泣ける作品をありがとうございます。GJ -- kk (2010-01-05 00 30 30) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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【第19話 コミケへ行こう】 肝臓の数値異常を受けて、こなたの腹部に穴を開けて肝臓の細胞を直接切り取って検査する手術が行われた。 局所麻酔なために、こなたの意識はずっとある。 手術室に入る前に、こわい……と目を固くつむるこなた。 それは、マルクや髄注をしていた頃のこなたの姿そのままだった。 「私の子なんだから大丈夫よ。あんたのお父さんだって我慢したんだから……」 「怪獣さん、いやお母さん、手術中も一緒にいて!!」 「当然じゃない!!母親なんだから」 かがみは励ます。 しかし、医師団にそれは拒否された。 「ダメです。手術室は一般者立ち入り禁止です」 「こなた……」 分厚い鉄扉が勢いよく閉まる。 かがみは鉄扉に耳を当てる。こなたの泣き声が、かすかに聞こえた。 「肝中心静脈閉塞症」 ───医者は新しい病名を宣告した。 「肝臓の血管が壊死して詰まる病気です。原因は前処置のときの抗がん剤の副作用です」 かがみたちは医者の話を聞いて愕然とした。 「じつはこなたさんの白血病細胞は非常にしぶとく、普通の骨髄移植の患者さんよりも大幅に抗がん剤を増量せざるを得ませんでした。 そのせいで肝臓を痛めたのでしょう。まだ症状は出ていませんが、こなたさんの肝臓はもうボロボロになっています。 いずれ体じゅうに毒素が回り、あと数日で昏睡状態に陥ると思われます。 もう対症療法(病気自体を治さないまま熱や息が苦しいなどの症状だけを減らす)しかありません」 そうじろうは頭を抱え、机に突っ伏した。 「私の肝臓をあげます!肝臓移植してください!!血液型も一緒です!!」 かがみは叫んだ。 しかし、医師団は頑として首を縦に振らなかった。 「抗がん剤の影響は他の臓器にも出ています。いま肝臓を治しても、肺・心臓・腎臓・すい臓とドミノのようにつぎつぎに悪化していきます」 「そんな……私の内臓も全部あげますから。私なんか死んでもいいですから!!」 かがみは机の上に身を乗り出して食い下がる。 しかし医師団は一斉に首を横に振った。 「当院はホスピス病棟も備えておりまして……」 「なによ!!なんで死ぬことが前提なのよ!!ここは病院でしょ!!治すところじゃない!!!!」 かがみは医者に飛びかかりそうになった。 「……いいよ、お母さん」 全員一斉にその声のほうを向いた こなたがドアを開けて立っていた。 「いいよ」 こなたはもう一回言った。 「もう治らないってわかったんだからいいよ。それより私、コミケってのに行きたい」 「こ、こなた……」 そうじろうやかがみはオロオロとした。 こなたは表情なくそれを眺めるような視線だった。 「な、何言ってんのよ。いまのは冗談、演技演技!!」 「コミケまで生きられる?私」 ボソリとかがみに訊くこなた。 「……」 「ね?」 「……当然じゃない、……」 「すぐ死ぬってわけじゃないよね?んじゃ私、ベッドの下の積みゲー大急ぎで消化しなくちゃ♪」 こなたは糸目とアヒル口になり、ひょいと廊下へ消えていった。 「お母さん、おはよー。リハビリの時間だよ!」 こなたは朝5時に起きるようになった。 ちなみに4時40分までひたすらゲームをやって深夜アニメを見て、「おやすみ、お母さん☆」と言ったばかりだ。 「ちょ、ちょっと、待って……もう、もうちょっとだけ寝かせ」 すぐ隣の家族用簡易ベッドの上でフラフラのかがみ。 「お母さん、体力ないねー。運動しないから太るんだよ?ダイエットダイエット」 死んだ『こなた』と同じことをのたまった。 「腹ごしらえに、その、円錐状のパンにチョコをつめこんだやつ、ちょうだい。あれおいしかったな」 「チョココロネって言うのよ。持ってきてるわよ」 かがみは売店で買ってきたチョココロネを取り出す 「はい、あーん」 「あーん」 「おいしいねえ。こんなにうまいものがこの世にあったとは……」 糸目でモグモグしながら感心するこなた。 「とりあえず生きてるうちに食べられて良かった」 「コミケって、なんか走るみたいだから足を鍛えなくちゃ」 こなたは血液内科の細長い廊下をウォーキングで行ったりきたりする。 まだ症状が出てないいま、点滴も外され完全に自由である。 「病院の中、結構ヲタクがいるみたいだね。ずっと個室だったから知らなかったよ」 こなたは嬉しそうに話す。 「お母さんもコミケに向けて一緒にはしろうね。ダイエットにもなるしね☆」 冬の早朝、窓の四角い枠に縁取られたまだ真っ暗なビッグサイトを背景に、電話帳みたいに分厚いカタログをブルンブルン振りながらこなたはウインクした。 コミケ開催日・12月29日が近づくにつれ、こなたはどんどんテンションが上がっていく。 検査の数値の悪化度とはまるで反比例していた。 「早く早く、大手の本が買えないよ」 徒歩どころか、こなたはマラソンのように廊下を走りだした。 「はやく!」 「待って、待ちなさいよこなた」 「朝早いのに静かにしてください」と看護師に怒られる。 かがみは息を切らしてその後をひたすら追いかける。 どこまでも続く病院の廊下。まっすぐ果てしなく伸びる直線。 かがみはこなたの流れる長い髪の毛をどこまでも追いかける。 型にとっておきたい。 久しぶりに見るこなたの元気な姿。 後ろから抱きしめたかったが、速すぎる。 ───その人生も。 「あー疲れた。ちょっと横になろ」 病室に戻ったこなたはベッドにゴロンと寝転がる。 朝っぱらから走らされたかがみもクタクタになって簡易ベッドに寝転がる 「ふう、ふう、あんた、きっと大手の本全部買えるわよ」 「うん、あれもこれも買いたいな。コミケ終わったら秋葉原も行きたいね」 「絶対行こう。一緒に」 「うん♪お母さんのおかげだよ。寝たきりだったら行けなかったよね」 こなたはかがみにキスをした。かがみもこなたにキスを仕返した。 明日の朝も繰り返すような、親子のキスだった。 「ねえ、お母さん……」 「なに?」 「イケメンのお父さんのことなんだけど」 「……」 「記憶がなくなる前の私のことだったんだよね?」 「……」 「ごめんね、二回も死ぬなんて」 かがみのほうに顔を向け、小さく謝るこなた。 「別に、あんたが謝る必要はないわよ。しょうがないんだしね。それに私もいつかはそっちへ行って、次の宇宙がはじまってもずっと永遠に一緒なんだからね。それより」 かがみはベッドの下からギャルゲーを取り出した。 「ほら、これもやろっ」 「うん。でも待って、ちょっと疲れちゃったな……」 かがみはこなたの身体にやさしくシーツをかけた。 ビッグサイトに当たった昇りはじめの太陽の反射光が、二人の間に光の道をつくっていた。 「身体しんどい?」とかがみ。 「ちょっとだけしんどくなってきたかな……すごく、眠い」 かがみはこなたの体をゆっくりとなぜた。 「子守り唄うたってあげる。どのアニソンがいい?」 「……アニソンって結構みんなテンション高めだからね……眠れなさそう」 「んじゃ、もうちょっとだけ眠らせないわよ」 かがみはいろいろなアニソンをうたった。 古いものから新しいものまで、NHKFMのアニソン三昧のようにうたい続ける。 「♪ががが、がががががおがいがー♪」 「うーん、テンション上がるねー。あれ?……」 こなたの手が小さく上下に、翼のように揺れていた。 「私、はばたいてるみたい。……あ、これ、『はばたきしんせん』ってやつだね」 それを見たかがみは、こなたの手に繋いでいた自分の指を、そっと外した。 「東館まで30秒もあれば飛べるわよ」 太陽の色のビッグサイトの屋根が青空の手前で道標になっていた。 「お母さん」 かがみをみて微笑んだ。 「ありがとう……」 こなたは、ビッグサイトが映る瞳をゆっくり閉じた。 待っていたかのように、病室のドアを開けて医師団がどっと入ってきた。 こなたの胸に聴診器を当て、心電図のコードや酸素マスクが次々に取り付けられた。 こなたは昏々と眠り続ける。 冬コミの日がどんどん近づいてくる。 やがて、日の落ちた窓の外に野宿をする男達が現れるようになった。 「あした、退院しような。こなた」 そうじろうは眠り姫のようなこなたを抱きしめた。 「小さいなあ、かなたより小さいや……」 窓の向こうでビッグサイトの電気が煌々とついていた。明日のコミケに備えスタッフが机を並べているのだ。 闇夜の黒山の人だかりの間で、ところどころパトカーのパトライトが赤く動いて、中学生の集団が補導されているのがみえる。 徹夜組のテント村の明かりがまるでキャンプ場である。 「お母さんと同じように、一緒に行こうな。コミケ」 こなたはスー、スーという酸素吸入の音で返事をした。 その頭にヘッドホンがつけられ、ずっと平野のCDを聞かせている。 そうじろうは上半身だけこなたのベッドを起こして、その目の前にPCを置き、こなたがやりかけだったギャルゲーの続きをどこまでもやって見せていた。 第20話:最後のプレゼント(完結)へ続く コメントフォーム 名前 コメント 寂しいな…。 -- 名無しさん (2012-12-21 19 58 15)
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よくあるお話 12KB 虐待-普通 制裁 自業自得 野良ゆ ゲス 現代 軽め ゆっくりが死にません ・ササッと読める話を目指しました。よって盛り上がりどころはないです。 では、ゆっくりしていってね!!! とある昼間の住宅街。 学校帰りと思われる三人の小学生が歩いています。 「今日は何して遊ぼっか?」 「ん~…久しぶりに高鬼やりてえ!」 「えー?やだ!絶対ケンちゃんが勝っちゃうんだもん」 「それじゃ何すんだよ。まさかおままごと(笑)とか?」 「ち、違うもん。でももっとおとなしい遊びがいいの!」 上から、小柄な男の子。大柄で気の強そうな男の子。そして髪を小さくまとめた女の子。 歩きながら、ああでもないこうでもないと言い合っています。 そんな彼らのところに――― 「おいちび!」 「へ?」 急に呼びかけられ、その方向へ視線を向けてもそこには誰も居ません。 おかしいな、と思い更に視線を下に向けると・・・ 「まりささまがよんだんだからさっさとへんじをするのぜ!!」 「ばかがきはこれだからいやだね!かわいいれいむをみならってほしいよ!」 「しかたないわよ。どこからどうみてもこのちびたちいなかものだもの!!」 上から、ゆっくりまりさ、ゆっくりれいむ、ゆっくりありすと呼ばれる不思議饅頭がそこには居ました。 汚れた身なりや下卑た言動から察するに、どうやら野良のようです。 「あ、ゆっくりだね」 「ああ、これが。教科書くらいでしか見た事ないから知らねえや」 「うわー、汚くて気持ち悪い……」 何でもないといった素振りの者。 物珍しそうな目で見る者。 泥やゴミにまみれて汚いゆっくりに、眉を顰める者。 ゆっくりの言う事には耳を貸さずに、三者三様の反応を見せています。 そしてそれからまもなく、小柄な少年が言い出しました。 「じゃ、さっさと行こうよ。遊ぶ時間無くなっちゃうよ」 「え?こいつら放っといていいのかよ。ウチの母さんがゆっくりは害獣だって言ってたぜ。駆除しねーと」 「やめてよ。こんな汚くて気持ち悪いのに触りたくないわ」 「え~、なんだよそれ。お前だってゆっくり飼ってるんだろ?おんなじじゃん」 「ちょっと!こんなのとウチのさなえを一緒にしないでよ!!」 「ご、ごめん・・・」 「まあまあ。それはともかく、 先生が言ってた事聞かなかったの?野良ゆっくりとは関わっちゃ駄目だって」 「あー、言ってたっけそんなこと。そういえば言ってたような気もするな」 「いっつも寝ようとばっかりするからそうなのよ。ちょっとは真面目に聞きなさいよ」 「そういうこと。じゃ、いこっか。その内こいつらは誰かが潰してくれるよ」 「おー」 何も見ませんでした、といった様子で去ろうとする少年達。 しかし、当然ゆっくりがそれを見過ごすわけがありません。 「おいちびども!にげるんじゃないんだぜ!!」 「いくられいむたちがこわいからってにげれるとおもってるの?ばかなの?しぬの?」 「れいぎもしらないなんて、さすがはいなかもののこどもだわ」 その物言いに、今度はカチンときた大柄な少年。 「はあ?誰が逃げるって?」 「や、やめなよ!ついさっき納得したばかりじゃん!」 「おまえは腹立たないのかよ!」 「立たないよ。だってこいつら、これが鳴き声なんだから」 「え、そうなのか?」 「うん。こいつらはその時の気分や状況に合わせて幾つかのパターンで話すだけなんだって」 「でも私の家のさなえはちゃんと話せるよ?とってもいい子だもん」 「ちゃんとしつけられたゆっくりは知能が伸びるから話せるようになるんだってさ。 だからそういうのは教養が無い野良だけなんだって」 「そーなのかー」 「じゃ、いこうよ。正直僕もあんまり関わりたくないし」 「うーん……」 又もやそっちのけで唸っている子供達に、とうとうゆっくりが痺れを切らしました。 「うがあぁぁ!むじずるなぁぁぁ!!! もういいんだぜ!さっさとあまあまよこすんだぜ!!」 「そうだよ!ちびたちがさからおうとしてもむだだよ! れいむたちつよいんだよ!かてるわけないよ!!ぷくー!!!」 「それともそんなことがわからないほどおろかなのかしら」 「ふん!どっちでもいいんだぜ!さっさとよわむしなくそがきはしーしーもらすまえに『オラァ!』びゅげっ!?」 「やっちゃえま・・・りさ・・・?」 一番前に出て、吠えていたまりさが大柄な少年に蹴飛ばされました。 蹴られたまりさは壁に激突して痙攣しています。 死んではいません。しかし上顎が殆ど無くなって、舌先がえぐれています。 これでは話す事もままならないでしょう。 「ば、ば、ばでぃざぁぁぁぁ!!」 「なんてことするのぉ、ごのいながものぉぉぉ!!」 「ひゅー、ひゅー…はひはひょほふひはぁ……」 まりさはもはや虫の息です。 しかしそんな様子に一番驚いているのは、ゆっくりを蹴った少年でした。 「うわ、弱っ」 「ちょっと、何してるのさ!あれほどやめとこうって言ったのに!!」 「だって鳴き声って言われてもイラッて来たんだからしょうがないじゃん。 それにあんだけ大口叩くんだから、てっきりそれなりに強いのかなって・・・」 「そんなわけ無いじゃん!動く饅頭だよ!?こいつらバカなだけなんだって! あーあ。残骸でグチャグチャじゃない。見つかったら怒られちゃうよ・・・」 その小柄な少年の物言いが、れいむの気に障ったようです。 「ゆがぁぁ!!でいぶばかじゃな゛い!! ばでぃざやでいぶをいじめるくそちびはゆっぐりじねぇ!!」 「って言ってるけどどうする?これじゃきっと追ってくるぜ」 「やだ……やっつけてよ」 「しょうがないなぁ…潰しちゃだめだからね」 「よっしゃ、任せとけって」 「「ゆ゛っ!!?」」 許可を得た少年がゆっくり出来ない笑顔で迫ってきます。 予想外の展開に驚くのはゆっくりたち。 「ど、どおじてこっちくるのぉ!?やめてね、こないでね!! あやばっでよぉ!!でいぶだぢこわいでじょ!?ぷ『うっせーよっと』う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ”!!!」 顔を膨らませようとしたところで、頬に蹴りを入れられました。 足は頬を突き破り口内に達した拍子に、 思わずバランスを崩して体重が掛かった少年の蹴り足がれいむの下顎を踏み抜きます。 「で、でいぶぅぅぅ!!」 「って、何いきなり約束破ってるのさ!!」 「ごめん!思ったより柔らかかったから勢いつきすぎてバランス崩しちまった! …あー!靴が餡子まみれになっちまった!母さんに叱られる!!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ………」 れいむは激痛のショックでピクピクと痙攣していました。 舌は半分千切れて、歯もなく、下顎の一部はあんよまでぺしゃんこに潰れています。 こちらもまりさと同じく生きているというよりも死んでないといったほうが的確な表現でしょう。 「まだ死んでないの?すっごく柔らかいのに」 「うん。饅頭だから脆いけど、餡子が無くならないと死ぬほど痛くても死ねないんだってさ」 「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!ばでぃざもでいぶもゆっぐりじでぇぇ゛ぇ゛!!!」 「くっそー。公園の水道であら・・・えないか。やっぱり」 叫ぶありすを余所に少年達は、頭を抱える大柄な少年を『言わんこっちゃない』と呆れた様子で笑っています。 そののどかな様子が、ありすには不可解でした。 「どおじでこんなことずるのぉぉ!!?」 「は?こっちの台詞だよ。何で俺達に話しかけたわけ?」 「にんげんのおちびはよわよわだから、あまあまさんをうばいとろうってまりさがいったのよぉ!」 「あー。そういうことか。まあたしかに大人にゃ負けるけど、お前らよりは強いみたいだな」 「ご、ごべんなざい!ゆるじでくだざい!!あでぃずがわるがっだでず!!もうじまぜんがら!!」 ありすは必死になって謝ります。他の二匹のようにはされたくないのでしょう。 「・・・なんか拍子抜けしちまったなあ。どうする?」 「許してあげてもいいんじゃないかしら。反省してるみたいだし…」 「まあいいんじゃないかな。反省はしてないみたいだけど」 小柄な少年の言葉に、他の少年や少女は眉を顰め、ありすはギョッとしました。 「どういうことだよ」 「さっきも言ったでしょ?こいつらの言葉は鳴き声だって。謝るのも鳴き声だよ。 何が悪いのかは解ってないけど、とりあえず謝っとけば人間相手なら生存確率は上がるからだって」 「マジかよ・・・」 「じゃあ試してみようか? ねえありす。何が悪かったのか言ってみてよ」 「ゆ゛っ!?あ、ありすは・・・あでぃずは・・・」 「どうしたの?何を許して欲しいの?何が悪かったの?何をもうしないの?」 ありすは口篭りました。少年の言うとおり、なにが悪いのか解っていないのですから当然でしょう。 ただ謝っておけば、と思わず口から出てしまっただけなのです。反省の心など欠片もありません。 それを見た大柄な少年は一歩前へ出ました。先程までとは違って、顔は全く笑っていません。 「気が変わった。やっぱこいつもやっとくわ」 「えぇ!?」 「どうしたの?」 「ゆっ、ゆるじでぐだざい!どがいはなあでぃずをゆるじでくだざい!!」 黙ってありすへ歩み寄る大柄な少年。 ありすは少年の顔を見て危機を感じて、顔をぐしゃぐしゃにしながら必死に命乞いを続けます。 「いながものっていってずびまぜんでじだ!だから「うるせーんだよ!!」・・・ゆがああぁぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 踵で目を蹴り抜かれたありすは絶叫して転がりまわります。 しかし少年の足に縫いとめられた後、もう片方の目も蹴り抜かれました。もう何も見えません。 「あ゛ぁ゛ぁ゛!!あでぃずのつぶらな゛おめ゛め゛!!どおじで!どぼじでぇぇぇ!!!」 目を潰した少年は冷淡な目で叫ありすを見下します。 「わかってねーな。俺は“悪いと思ってないのに謝った”から怒ってんだっつーの。 『ごめんなさいは気持ちを込めて』 今どき一年生でも知ってるぜ!」 「な゛にがわるがっだの!?あでぃずわがらないわ゛!どうでぼいいがらや゛べでぇぇ゛ぇ゛!!」 「…チッ。もういいや、喋んな。俺は嘘吐きと、口先だけのやつが大ッ嫌いなんだよ!!」 「ぎっ!?ぎぃぃ゛ぃ゛!!いひゃいぃぃ゛ぃ゛!!!」 それだけ言うと少年は真正面からありすの口に足を突っ込んで、そのまま舌ごと踏み潰しました。 「ああ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!い゛びゃい!あひひゅほほはいははへひへひはぁ!!」 おまけに踏み潰されついでにぺにぺにまで潰されてしまったようです。 これではもう、趣味だったそこら辺の野良ちびゆっくりれいぷをする事もできません。 「あー、これでいいや。これ以上靴汚すと本当に母さんに家から閉め出されちゃうし」 図らずもれいぱー魔の凶行を防いだ少年は、最初と違ってどこまでも冷め切った顔です。 「なんか、なんでこいつらに関わるなって先生が言ってたのか分かる気がする」 「情操教育上悪いってPTAからも苦情が来てるみたいだからね。 だからってすぐに何かできるわけじゃないし今は口だけの注意みたいだけど、 その内加工所から大掛かりな駆除チームが組まれるみたいだよ」 「じょうそうきょういく……?で、でもよかったわ。じゃあこれからはもうこんなの見なくて済むのね」 「・・・っていうか何でお前そんなに詳しいんだよ」 「近所に住んでる親戚の兄ちゃんが加工所で働いてるから色々聞けるんだよ。 でも正直言って聞いても難しい言葉だらけなんだよね。 僕もさっきから説明してる事の半分もわからないんだけど」 「なんだよそれー」 「あはははは。 さ!もう行こうよ。ほんとに時間無くなっちゃうし。何しよっか?」 「あ、そういえばミッちゃんが新しいゲーム買ったんだってさ。 みんなでできるやつだから遊びに来いって言ってたぜ!!」 「たまにはゲームも良いかもね。じゃ、行きましょ!」 子供達はもう道端に転がっている饅頭の事など忘れて、元気に駆けていきました。 残ったのは上顎や下顎を仲良く削られ、傷だらけになった野良ゆっくりだけです。 「ふぁひひゃほひゃひゅひぇひぇへ…はへはははいひょうひゃふぁひひゃほ……」 「ばんべがばいぼうばべいぶがごんばべに゛……」 「ふひゃひゃひゃひゃひゃ!ひゅっひひ!ひゅっひひぃぃぃ!!!」 何を言ってるのか、お互いでも理解する事ができないようです。 口が裂け、顎が砕かれ、目も舌もまむまむもぺにぺにもあんよも潰されてしまいました。 もうありすは何も見えません。まりさ以外は跳ねる事もできず、ずりずりと這いずるしかありません。 舌が潰れて何を食べても味がわかりません。そもそも歯が殆どなくなったので咀嚼ができません。 まともに話せもしません。すっきりもできません。ぷくーすらもできません。 ただでさえ弱いというのに、数少ない武器すら失ってしまったゆっくりたちの行く先は目に見えています。 今まで話し声が聞こえるというだけで警戒していた鴉も、もう容赦する事はないでしょう。 ぷくーに驚いて避けていた野良犬や野良猫も、これからは躊躇なく襲い掛かるでしょう。 餡子が少しずつ漏れ出るせいで何時、何処から蟻が這い登ってきて体内を食い荒らすのか、気が気ではありません。 そして何よりも自分達と同じ野良ゆっくりが、自分達が碌に抵抗もできないと知って何もかも奪っていくでしょう。 当然気持ち悪い見た目でボロボロの、汚い野良ゆっくりを助けようなどと思う人間など居る訳がありません。 必死に命乞いをしても、むしろ目障りだということで止めを刺されるであろうことも言うまでもありません。 それでもこの三匹は死んではいません。ろくに動けずとも、生きている以上はどんな苦痛からも逃げられません。 息絶えるその瞬間まで身をよじり、叫び、ただ命を少しずつ削っていくのでしょう。 しかしこれは特別な事ではありません。 身の程を知らずに、勝手に何かに突っかかっては無残で惨めな末路を辿る。 それは街で生きるゆっくりにとってはなんでもないお話。何も珍しい事などない、よくあるお話。 「「「ひゅっひゅひひゃひぇひぇぇぇぇ!!!」」」 ただ、それだけのお話でした。 ・あとがき 最後のとおり、ただそれだけの話です。 鳴き声とは言うけど、思いもしないのに謝るとかゲスのすることじゃね? と思ったので書きました。 でもそれじゃ野良ゆっくりの九割はゲスになっちゃう気がするなぁ。 ではまた近いうちに!! 小五ロリあき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と ふたば系ゆっくりいじめ 446 俺とゲスと自業自得な餡子脳 ふたば系ゆっくりいじめ 460 弱虫まりさとほんとの勇気 ふたば系ゆっくりいじめ 484 ドスと理想と長の資格 前 ふたば系ゆっくりいじめ 494 ドスと理想と長の資格 後 ふたば系ゆっくりいじめ 514 僕とさくやとおぜうさま ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編 ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け ふたば系ゆっくりいじめ 599 はじめてのくじょ~少女奮闘中~ ふたば系ゆっくりいじめ 615 お兄さんは静かに暮らしたい 小五ロリあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 子供たちは良識があるようだ -- 2014-07-20 10 54 08 出てきた子供が昭和チックに感じた -- 2011-06-08 00 29 48 この子供達がスネ夫、静、ジャイアンに見えちまった ゆっくりのくせに生意気だぞー -- 2010-12-13 10 42 12 偉そうなガキだ -- 2010-07-26 12 14 32 この少年は見所がある きっと立派な鬼、お兄さんになるだろう -- 2010-06-27 00 52 35 大柄な男の子かっけえ。 -- 2010-06-21 15 21 47 子供たち、GJ -- 2010-06-17 06 18 50